二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: バトテニ-無駄な感情- ( No.86 )
日時: 2010/02/11 19:07
名前: 亮 (ID: 2nrfRM.C)

 66 死に際




真田も加わり、皆は香澄の手当を始めた。
失いたくない、自分たちの太陽。
香澄を失えば、何を支えに生きればよいのか。

「香澄先輩・・・」(リョーマ)

何かと、衝撃的な場面に出くわしてしまうリョーマ。
自分の先輩の傷つくところを幾度となく見てきた、その心はズタズタで。
でも香澄に、「大丈夫」そう言ったから、弱音を吐くわけにはいかなくて。
今もこぼれそうな涙を、必死に抑える。

「男なら、泣くな。 立ち上がれ」

いつだったか、幼い頃の父の言葉が蘇る。

「先輩!」(リョーマ)

死なないで。 生きて。 別れたくなんか無い。
リョーマも、必死に手当を手伝った。

「血は、止まったか?」(跡部)
「そうみてェだな・・・」(宍戸)

銃弾が、かする程度で良かった。
大量の血は出たが、命は、まだ此処にある。
跡部は、今だ呆然としている桃に声を掛けた。

「おい、桃城! 香澄は助かった」(跡部)

呼びかけに、桃は応じない。

「聞こえてんのか? あーん?」(跡部)

聞こえているのか、そうでないのか。
桃は応じない。
跡部は、ため息をついた。
そして、桃のトコロへ歩み寄る。

気持ちは、充分分かるぜ?
だから、一緒に進もう。
俺たちには、果たさなければならないことがあるだろう?

「桃城!」(跡部)
「・・・跡部さん」(桃)

肩を叩けば、桃は振り向く。

「気持ちは、分かるつもりだ」(跡部)
「はい」(桃)

自分が信じられない。
英二に、銃を向けた自分が。
あの時、確かにゲームに“乗っていた”自分が。

「俺、ゲームに乗ってました。 あの瞬間」(桃)

桃からの、衝撃的な言葉。
後ろで聞いている誰もが、手を止める。

「確かに、思ったんです。 英二先輩を殺したいって」(桃)

手が震えている。
その震えを止めるように、強く握った。

「最低、ッスよね。 俺」(桃)


それは、かつて俺も思ったこと。