二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: バトテニ-無駄な感情- ( No.88 )
日時: 2010/02/13 13:15
名前: 亮 (ID: 2nrfRM.C)

 68 また




桃はようやく、不器用に頭に包帯を巻かれた香澄の前へ来た。
そして、血で汚れた顔をそっとなでる。

「・・・ごめんな」(桃)

小さく、謝った。
あの時、俺まで希望を捨てちゃいけなかった。
すると、香澄は少しだけ目を開けた。

「謝らないでよ、桃・・・」(香澄)
「香澄!」(桃)

目を覚ました香澄は、まだ起きあがることは出来ない。
だが、桃の手を握った。

「良かった・・・」(桃)

桃は、そう呟く。
皆にも、少しずつ笑顔が戻る。
その向こうでは英二が倒れていた、真田もその場にいた。
何があったのか、香澄はなんとなくだが悟っていた。

力が入らない手で、精一杯桃の手を握る。
これが最期、とでも言わんばかりに。

「どうした? 香澄」(桃)

桃が、いつもと変わらなく笑う。
その笑顔とは裏腹に、香澄の心は曇っていて。

「・・・ごめん」(香澄)

目なんか、覚めなければ良かった。
此処には、何もない。
この世界には、何もない。
有るのは、殺意だけ。
そんなのなら、死んじゃいたい。

「殺して」(香澄)

今、自分が皆を傷つけている。

「生きているなんて、辛いよ」(香澄)

目の前が、真っ暗になる。
コレは誰だ?
香澄は何処だ?
今、何て言った?

「殺して」

どういう意味だ?

「何、言ってんだよ・・・ 香澄」(桃)

冗談だと、笑って言って。
こんなコトを願うのはいつ以来だろう。

「生きようって、言ったじゃねェか。 香澄」(桃)

手が震える。

「今までは、何だったんだよ! 香澄!」(桃)

桃が怒るのは、無理もないよね。
だけど、もう無理。
自信がないんだ。 
もう1度、希望を持つ自信と、強くなる自信が。
皆で生き残るなんて、どう考えたって無理だよ。
こんなコトしか思えない、私を許して。

そして、殺して。

「殺してよ」(香澄)
「香澄ィ・・・」(桃)
「早く」(香澄)

この世界から、消して。

思い出してくれよ。
頼むから、生きてくれ。
もう1度、笑ってくれ。

そうでないと・・・俺たち、安心して消えることが出来ないんだ。


「生きてくれ・・・ 香澄!」(桃)


どうして?