二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: バトテニ−サヨナラ、− [テニプリ] ( No.894 )
日時: 2010/08/31 19:00
名前: 亮 ◆A2rpxnFQ.g (ID: TtH9.zpr)
参照: 彼方のためです。サヨナラ。

 141 25歳の誕生日




「おいしいね、此処」
「そやろ??前に1回、謙也と来たんや」
「え、2人で?」
「そやけど・・・・・・、その若干引いた目止めや」

そんな他愛のない会話を続けながら、白石と香澄はパスタを食べていた。
謙也と白石が2人で、此の店に入ったよいうだけで笑ってしまう。

「何がおかしいんや?」

白石は苦笑いして尋ねる。

「内緒」

香澄は悪戯っぽく微笑んだ。


「ともあれ、金ちゃんも行ってしもたなぁ」


途端に、白石が寂しげに言う。
香澄も食べる手を止め、口を開いた。

「何や、寂しい??」
「そゆーワケちゃうけど、やっぱ、何年も一緒におったんやし」
「ふふ、寂しいんやんか」

からかうように、香澄は微笑んだ。

「早く、金ちゃんが自信持てるようになればええな。リョーマのこととか、気にならんくらい」
「金ちゃんなら、すぐにそうなれるやろ」

香澄を安心させるような口調で、白石は呟く。

「そうだと、ええな」

少しだけ重たく、しんみりした空気になってきた。
白石はそれを悟り、話を変えた。



「そうや、忘れとった」



白石も声に、香澄は顔をパッと上げ、きょとんとした表情をする。

「何?」
「ちょっと、待ちぃや」

白石は鞄をあさりながら香澄に言う。



「ほら、今日誕生日やろ??」



小さな、箱。

「え、」

香澄は、小さな声を漏らした。

「誕生日プレゼント、や。おめでとう」

白石はニコニコ、笑顔を浮かべていた。







“香澄!!優勝だぞ、優勝!!”
“うん、凄いよ、ホント、凄いよ!!”
“越前、お前よくやったな!!”
“痛いッス、桃先輩・・・・・・”





あの時は夢中で、男とか女とか、全く気にせずに。





“あー、桃と香澄、抱き合っちゃって!!香澄ー、俺とも!!”
“うわ、ちょ、英二先輩!!”
“きゃ、えええ、英二先輩?!”
“何してんスか!! 離れてくださいよ、英二先輩”
“やだよー、香澄は桃のモノじゃないもんねー”





ただただ、全身で優勝を喜んだ。





“俺は決勝戦出てねぇけど・・・・・・、約束守ったぞ”










“お前の誕生日プレゼント、全国優勝にしたぜ!!”










「あり、がとう・・・・・・」

やっと、出た一言。
脳裏に、あの日がリピートされている。

「開けて、見てもええ??」

香澄は手先の震えを無理矢理止め、可愛くラッピングされた箱を手に取る。
白石の表情[カオ]なんて、怖くて見れなかった。



———また、自分の中に渦めく感情を、見透かされている様な気がして。





「あ・・・・・・」





開けた箱の中に、キラッと光モノが見えた。
白石は机の下で、手にぎゅっと力を入れた。


「これ、」


香澄は、驚きを隠せず白石の顔を見る。
照れたように、困ったように微笑み、それでいて————、とても決意に満ちていた。

























「結婚、せぇへんか?? 香澄—————————」

























店内の電気に照らされて、ダイアが光る。















25歳の誕生日プレゼントは——————————————————————、結婚指輪でした。