二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: バトテニ−サヨナラ、− [テニプリ] ( No.902 )
日時: 2010/09/05 19:22
名前: 亮 ◆A2rpxnFQ.g (ID: TtH9.zpr)
参照: 今、この瞳に映るモノは、


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電車を降りて、駅の中を見渡す。
皆、必死に、面影を捜した。





俺たちの———、太陽だった、彼女の。





——————



名前を、呼ばれた。
知らない声が、私の名前を呼んだ。
知らないはずなのに——、何処か懐かしく優しい、声が。


あぁ、知らないはずないじゃない。





そんな声、1人しかいないじゃない。










「やっと、見つけた—————!!!!」










夢?

幻?

妄想?

幻想?


それとも——————、現実?





「香澄!!」





目の前に立つ男は、満面の笑みを浮かべ、香澄の名を呼ぶ。
誰だか、なんて。
訊かなくても、分かった。



だけど、



信じられない。





「も、も・・・・・・??」





だって、だって、だって、桃は。

「嘘、やろ??」

声が、上手く出ない。
上手く、身体が動かない。

「桃っ」

固まっている足を、力ずくで動かし、走り出そうとした。
だけど、





「かす、み」





大切な女[ヒト]の、幸せの邪魔はしたくない。
そう思っているのに、身体を正直で。
行って欲しくない、ココロの底に在るその想いが———、腕を掴ませる。

白石は、香澄の腕を握った。


「蔵、」


香澄は目に涙をいっぱいに溜めていた。
今までとは違う、喜びの涙—————————



——ココロから、キミの幸せを祈るよ。



——だから、だから、









この手を、離そう。





「幸せに、なりや。香澄」





一体どれだけ、このヒトを傷つけただろう。

自分よがりで、我が儘な私は、何度かのヒトの気持ちを踏みにじっただろう。
それなのに、この人は、笑ってくれた。


隣に、いてくれた。





「ありが、とう・・・・・・」





彼方のお陰で、生きてこられた。
彼方のお陰で、笑顔になれた。
決して善人とは言えない私だけど、いつもいつも、



ありがとうって、思っていた。



「サヨナラ」



最初から、こうなることが。





分かっていたかのように。





彼女の手は、あまりにも呆気なく。










俺の手を擦りぬけた。
















「桃・・・・・・っ」










どうして、どうして、どうして、彼方が、此処に。
そんな疑問よりも先に、香澄のカラダは桃に引き寄せられる。
気がつけば、その腕に抱かれていた。


思えば、初めての、桃の腕の中。


暖かく、優しい、強い、腕。





「久しぶり」

































運命は初めから、こうなることを知っていたのかもしれない。