二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ポケスペ†君と一緒に†41話UP ( No.519 )
日時: 2010/03/30 10:42
名前: 月音 ◆MoYaKs53do (ID: ixDFu4/i)

#42  空間の能力

ユウトの並大抵ではない勘は見事的中し
地下は牢屋となっており、その番を任されている無数のポケモンたち(主にヘルガーやグラエナなど)
が威嚇し、侵入者を待ち構えていた

4人はそれに臆することなく、ユウナが閉じ込められている牢屋を目指した

サンはサイコパワーでユウナの居場所を探し、そのルートを進んでいた

が、しかし。
サンは急にピタリ、と止まった
4人を倣うようにその場に立ち止まる
まさか、迷ったのか。という思考が4人の頭を過ぎる

「サン、どうかしたのか?」

ユウトがそう訊くと、サンは通路を塘路したが、“見えない何か”によって通れないらしい

「…………行き止まり? じゃない……俺たちの行く手を邪魔してる……?」

その「壁」に手を触れると、固い感触が伝わった
硬く、それでいてひんやりとしていた

その時、ユウトにしか聞こえない声がした

《ユウト、俺と入れ替わってくれ》

それは、双子の兄の声で、その声は何かに気づいたような声だった
ユウトはその言葉に無言で承諾し、兄と魂を入れ替えた


「………よし、一丁やってみっか」

ユウト…いなクウトは壁についた手をそのままに、意識を集中させた

しばらくすると、ピシリ、と壁が音を立てた
その音源はクウトの手からで、やはり。と確信したクウトはニヤリ、と笑い、さらに意識を集中させた

壁に入ったヒビはだんだんと枝分かれするように広がり、壁全体にヒビが入った
その時がきた時、

「———————————滅」

静かに、だが力強くその言葉を放つと、壁はガラスのように飛び散り、淡い光を帯びて消えていった


「ふん、空間の力を継いだ俺様の前ではこんか壁壊すのなんか朝飯前だな」

クウトは腰に手を当てて消えていく壁をあざ笑いながら言い、弟にその身体を返した


「………すげ。兄貴の能力………」

自分が「時を視る」能力を継いだのなら
兄は「空間を創り、壊す」能力を継いだのだ

ユウトはさて、と未だに驚いているレッド達のほうを向き、言った

「こんな壁が出た。ってことはユウナに近づいてるわけだ
————急ぐぞ」

そう言い、踵を返し走る。サンも同時に走り出し、残された3人も追いかけ、走り出した



        ***


ユウナの場所へと行くまで、何度か同じような壁が現れたが、それも全てクウトのお陰で壊し、進んでいった


そして、一番奥の牢にたどり着いたとき
やっと探していた人物を見つけた
だが、その姿は4人の想像をはるかに超えていた


「——————ユウナ?」


そのユウナの瞳は光を宿しておらず、自分を護るように手を方に回しておびえていた


それは、ユウトの記憶にしっかりと刻み込まれていたあの時と同じ光景だった


自分を殻に閉じ込め、闇に凍えていたアノ頃と同じだった




「—————ユウナッ!!!!」

考えるよりもさきに体が動き、一瞬兄と入れ替わり、牢の一部を壊し、中へと入っていった



「ユウナ、ユウナ、ユウナ!!!!!!」

ただただ、その少女の名を繰り返すが反応は無い

見る限り、アノ頃より重症らしい
それでも、少年は諦めなかった


「俺だ。ユウトだ。お前の………たった一人の……家族だよ」


ユウトはユウナを抱きしめ、優しく言った



でも、まだユウナは自分に囚われたまま
変化の無い様子に、ユウトは焦りを感じる


「ッ………気づいてくれ、ユウナ………ッ!!!」


続く