二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ポケスペ†君と一緒に†47話UP ( No.545 )
日時: 2010/04/09 16:41
名前: 月音 ◆MoYaKs53do (ID: ixDFu4/i)

#48 機械。

「なぁ、オメェに一つ訊いて良いか?」

ゴールドは、低い声でユウキに問う
ユウキは答えられる範囲ならな。と言った

「……オメェにとって、ユウナはどんな存在だ?」


そう、ゴールドは金色の瞳で問う
ユウキの蒼い瞳はもはや蒼と呼べないほど汚れていた
………そのユウキが出した答えは


            残酷。それ以外に呼び様の無い答えだった




      「機械、だ」



瞬間、金色の瞳が、怒りに変わる
同じく、蒼色の瞳も、静かに怒りの灯火を燃やし始めた



「      んなよ、」
「ん? きこえないな



               怒りが響いた。



「ふざッッッッッッッけんなよッ!!!!!!!!!!!!!」




空気が振動し、声が反響する。
そして、心が動いた、そう「怒り」へ




「機械? なんだよソレ。お前にとってユウナはただの“道具”に過ぎなかったのかよ!?
たった一人の孫だぜ!? それなのに………
教えろ!!!!! お前はユウナで何がしたかったんだ!?」


ゴールドの問いに、ユウキは



「私が神になるため、ユウナはあつ者の情報によると“ホウオウが選んだ中で最も高いトレーナー能力を持っている”と言っていたのだ
………当然と言えば当然だがな」

“ホウオウが選んだ”という言葉の意味の先は
彼等にはよく判っていた
……つまり、“ユウナもマスク・ド・チルドレンの候補だった”という事だ
「当然」という意の先は判らないが、ユウナの強さは確かに納得はいく

「…それもどの逸材を、ぬけぬけと奪われるのは気が引ける
それに、先ほども言ったとおり“私が神になる”ために必要なのは、三家の頂点に着くための強さが必要だった
……新跡継ぎのな」


だから、ユウナを「戦闘機械」に育てあげようと
ユウナを祖父のための「傀儡人形」になりかけた
ユウナは人としての「心」を失いかけた


          そう、祖父の野望のためだけに。
ユウナは「人」を失いかけたのだ


            「ユウナ」を消されかけたのだ



「………あー、イラつく」


声の主は、蒼の瞳。
蒼の瞳は、ゆっくりと立ち上がる


「………お前に神サマが務まるワケねーだろ、クズ」


放たれた、怒りの言葉


「家族一人大切に思えねー奴が“世界を大切に思えるわけない”だろ
自惚れてんじゃねぇよ。それに…」

          蒼の瞳は深く呼吸した後



「————————————人を殺す奴が神になれたら、この世は神サマだらけだろ」


その言葉に、祖父は目を見開く。一瞬、本当に一瞬だけ
そして、俯き、屋敷に静寂が走った

この時、彼等は知らなかった
今目の前に立つ男が、

            重く苦しい過去を背負っている事に


続く