二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: テニスの王子様『A bond』 ( No.1 )
日時: 2010/01/21 21:28
名前: リップ (ID: HKLnqVHP)

案外、ひっそり生きるのは楽な事なのかもしれない。
誰にも尊敬されず、静かに暮らす。
気楽で、誰の目も気にせずにいられるのだ。これほど楽なことはない。

だから、わたしはずっとそのままでよかった。
ずっと——…。



「椎葉由宇です、よろしくお願いします。」
軽く頭を下げると一斉に拍手が鳴り始める。
ゆっくり体を起こすとものめずらしげに見る視線に少し居心地悪く感じた。

——立海大付属中学校
今日からわたしが過ごす学校だ。
クラスは2年C組、途中からの編入ともあって、教室内ではヒソヒソ声が聞こえる。

まぁ、それもそうか

知力体力、両者とも上位のレベルにある立海。
そんな学校に途中から入学した、という事はよっぽどすごいらしい。


——
「椎葉の隣は…、またあいつはサボりか。」
空席のところを見ながら深いため息を吐いた担任を横目に案内された席へと向かう。

名門の学校に所属しているにもかかわらず、サボる生徒がいるのか…

SHRが終わり、わらわらと周りに人が集まり始めた。
その状況に心の中で悪態をつく

「椎葉さん、アメリカにいたんだよね?」
「背高いねー、なんかスポーツやってるの?」
お決まり、とでも言うのだろうか。
まるで漫画のワンシーンでもあるかのような場面が繰り広げられている。

「そう、でも時々日本にも帰ってきてたよ。」
「スポーツはとくにやってないかな、」

愛想笑いをつけて飛び交う質問に答えた。
第一印象は大事にしているわけではないが、後々がめんどうなので、ここは株を上げておくのは一番だ。

そんなかんなで休み時間は終了し、みんな席へと帰っていった。
次の時間からはギャラリーも減るだろうとぼんやり思う。
転校生とは、そういう者だ。


ガラッ

教卓側とは反対のドアが開き、クラスメイトの視線はそこへ集まる。

先生か、と思ったがどうやらこのクラスの生徒みたいだ。
しかし、そのあまりの風貌にわたしは目を丸くした。