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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: テニスの王子様『A bond』 ( No.2 )
- 日時: 2010/01/21 21:47
- 名前: リップ (ID: HKLnqVHP)
act1:銀髪の君
彼のあまりの風貌に少し動揺した。
無造作に結われ銀髪に染められた髪、切れ目で端整な顔、そして中学生らしからぬ雰囲気…
彼が教室に入ってから女子の視線が少し熱くなったのは気のせいだろうか。
まぁこれだけの風貌なのだから注目されても仕方がない。
ずかずかと猫背がちな姿勢でこっちへ向かってくる様子から、あぁ隣の人か、っと推測した。
案の定、彼はわたしの隣へと来て、イスを引き座りだす。
サボり君、というのは彼のことか。
納得。
「……、なんじゃお前。」
彼の言葉遣いに少し違和感を感じた。
いや、言葉遣いもそうだがイントネーションが標準と違う。
どこか九州方面っぽい訛りだ
「あ、今日転校してきた椎葉由宇です。」
よろしく、と本音はあまりよろしくしたくないと思いつつ軽く頭をさげた。
あぁ、と気だるげに変事を返されそのまま机へとうっぷしてしまった。
彼の中で転校生、というのは至極どうでもいい分類なのだろう。
「銀髪なんて、まじでいるんだ。」
小さくボソっと呟いた声はざわめき声へとかき消される。
文武両道を誇るこの学校は頭髪については何も言わないのだろうか。
アメリカでは多様な人種がいるのではいろんな色がいるのは当たり前だ。
しかし、銀髪というのは私のスクールではいなかった気がする。
なんだか彼が只ならぬ存在な気がして、少し鳥肌が立つ。
よりによってあまり関わりたくないお方の隣になってしまったものだ、とぼんやり思う。
——銀髪の君は一体今、何を思っているのだろうか。
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