二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: キミに追いつくその日まで 【テニプリ】 オリキャラ募集- ( No.122 )
日時: 2010/03/14 18:55
名前: 亮 (ID: 2nrfRM.C)


 第9話



「・・・なんで?」(蒼)

蒼は、自分の後ろに転がるボールを手に取る。
テニスは初めてだ。
だけど、スマッシュを打つ瞬間に、決まる、そう確信した。

なのに。



「羆落とし、だね? 手塚」(不二)



不二は後ろにいる手塚を振り返りながら、言う。
手塚は静かに頷いた。

「日向の得意技の1つだ」(手塚)

星華とリョーマはたま、口をそろえて「へェ」と言った。

「ふーん、葵先輩って強かったんだ」(リョーマ)
「葵部長をなめちゃァ、いけねーなァ、いけねーよ」(桃)

桃は、リョーマの頭を軽く叩く。

「だって、馬鹿そうじゃないッスか」(リョーマ)
「お前、葵部長をなんだと思ってんだよ・・・」(桃)
「でもさ、葵の本気って、久しぶりだよね?」(英二)

英二のセリフに、手塚はまた頷き、口を開いた。


「アイツは、自分の強さを自分から表に出そうとはしないからな」(手塚)


「というより、偉そうな格好が出来ないんだろうがな」と付け足す。

「羆落としを見るのは、半年ぶり・・・くらいだな」(乾)


蒼に、男テニの話し声が聞こえた。

「・・・羆落としって、何? 葵先輩」(蒼)

若干苛つきながら、蒼は葵に訊く。
今まで、初めてのスポーツでも、見たことも無いようなスポーツでも、負けたことは無かった。
だけど、今回はうまくいかなかった。

「・・・試合が終われば、教えてあげるよ。 蒼ちゃん」(葵)

葵は、試合前までとは別人の様な目で、蒼を見る。



「さ、続きを始めようか」(葵)



蒼は、息を呑む。
生まれて初めてだった。
自分の前に、壁が出来た。

それが、悔しくて、それでいて、とってもわくわくするんだ。

ボールから、目を離さない。
見よう見まねで、スマッシュを何度も打つ。
だけど、すべて“羆落とし”で返される。

——————全てを、無効化される。



「ゲームウォンバイ 日向 6−0!」



葵の完勝。
葵は、蒼に握手を求めた。

「テニス、おもしろかった?」(葵)

蒼は、何も言わずに頷く。


「テニス部に、入ってくれるよね? 蒼ちゃん」(葵)


その言葉に、蒼はまた、何も言わずに頷いた。




テニスのおもしろさと、奥深さを感じて。
このスポーツを極めることを誓って。

いつかきっと、この人を抜くコトを誓って。