二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: *+改×24+* ●テニスの王子様 and テニスのお姫様○ ( No.19 )
- 日時: 2010/02/04 23:20
- 名前: うっさー ◆/bzwarKBcE (ID: 3L0NyJ0C)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.php?mode
*+第百三十六話+*
***
「紅蓮、おまんのせいナリ。そこで隠れてないで、出てきんしゃい」
仁王は後ろの木に向かって喋りかける。
「そこに紅蓮が居る確率は、99.9%だ」
柳が言えば、「100って言えよ」と木の上から笑われた。
「ってかよぉ、お前のせいなんだぜぃ?? さっさと止めろよ。…… ジャッカルが!!」
ブン太はいきなり、ジャッカルを指差す。
「俺かよ!! 普通は、紅蓮だろ??」
なんて、ジャッカルが突っ込んでる最中だった。
赤也がラケットを持っていないことを知ったのは。
***
「アンタの腕、壊れてもしらないから。後、負けないよ。ってか、私に勝つ気??」
輪廻の透き通る声が、コート全体に響く。
「俺が負けるって?? 言うねぇ、お前も」
赤也は舌なめずりをする。
だが、輪廻は相変わらず冷ややかな表情で。
赤也はサーブをした。
ナックルサーブ。
それを、輪廻は難なく相手に返す。
そして、相手に向かって叫んだ。
「止める気ないですか??」
敬語で輪廻は聞く。
「あたりめーだろ」
相手の答えに、「そう、ですか」と輪廻は呟いた。
赤也は輪廻のボールを難なく返す。
「唖李栖」
ボソッと相手の名前を呼べば、唖李栖は微かに反応する。
輪廻の足はもう止まっていて。ラケットも右手にある。
「こんな姉を許して??」
半ば、自信無さげに笑えば、赤也のボールを返す。
だけど、そのボールは目に見えなくて。
見えたときには、ボールは止まり、赤也の手からラケットが落ちていた。
***
「手錠…」
唖李栖の呟きを、跡部が聞き逃すはずもなく。
だが、聞き返すこともできなかった。
***
「これでおしまいです、赤也先輩。どうせ、今の手じゃ使い物にならないですからね」
ボソッと呟けば、レギュラー陣が赤也に駆け寄った。
「おまん、赤也に何をした??」
仁王が輪廻を見る。
「少しばかし、手に力が入らないようにしただけです」
無表情で言う輪廻は少し、冷酷で。
「輪廻、帰ろ??」
遠慮気味に唖李栖が言えば、輪廻は頷き。
「あぁ。紅蓮なら、その解き方知ってますよ」
輪廻は木に視線をやってから、その場を去る。
***[紅蓮]
『ねぇ、紅蓮。輪廻たちが言ってたコト、本当??』
俺が頷けば、彼女は悲しそうに俺を見る。
『サイテー』
そんな単純な言葉なのに、俺の心にはズシッと何かが乗っかる。
『本当に信じてたのに!! 紅蓮なんて、紅蓮なんてッ!!』
銀色の髪が風に靡いて、表情がよく見えない。
君は何を言おうとしているの??
『紅蓮なんて、大嫌い!!!』
何気ない言葉。だけど、お前の表情は涙で濡れている。
『でも、これだけは言わせて』
彼女は頑張っているのだろう。涙を拭いて、にこっと笑った。
『銀花は、紅蓮のコト、心から好きでした』
彼女は『過去形』の文を俺に述べると、走り去る。
あぁ。何もかも失った自分。
何も残らない。
そして、何も残すつもりも無い。
「おい、紅蓮!! 聞いてるのか??」
ブン太の呼びかけで、俺は目の前のやつらを見る。
「悪い。で、何だ??」
少しだけ首を傾げてやれば、仁王はため息。
「コイツの腕をなおしんしゃい」
命令かよ。って突っ込みはいれるつもりはない。
だから、俺は、赤也の腕を治した。
この技は、手首のある部分を押せば、すぐに治る。
「す、スゲー」
ブン太は驚きながら、俺を見た。
「さすがッす!! 紅蓮先輩」
赤也は俺を見て笑う。
「そんなことはない。これは、俺が教えたんだからな」
ボソッと呟けば、少しばかり驚いた顔。
「なんでもない。だが、良かったよ。2年エースに怪我されちゃたまったもんじゃないからな」
俺が言えば、赤也は「そう言ってもらえると嬉しいっす!!」という。
あぁ、コイツは単純だ。
その単純な奴に、俺は振り回されているのだが。
『紅蓮。銀花は紅蓮が大好きなんだよ!!』
彼女の笑顔が目に焼きついていて、離れない。