二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: *+改×24+* ●テニスの王子様 and テニスのお姫様○ ( No.245 )
- 日時: 2010/03/19 23:26
- 名前: うっさー ◆8.9xsVkhDE (ID: HnQQx7lG)
- 参照: マッテ、マッテ。オイテイカナイデ。…………リン、ネ。
*+第百五十八話+*
「後、1点!!」
会場の外で、そんな声が響いた。
そう、後1点で青学の勝利。
だけど、零はそんなコト気にしてられない。
(ヤバ。目眩が、止まらない)
零の目からは、全員が霞んで見えていた。
(……ッ。こんな躯、朽ちてしまえば良いのにッ)
そんなコトを思っても口には出せない。
こんなことを言ったら、あの子がどれ程悲しむものか。
そんなことは絶対にしたくない。
(守らなきゃ、いけない。たった一人の、家族だから)
ぎゅっとラケットを握り締める。
「零、行ったよ〜ん!!」
英二の声を聞くと、零は力強く頷く。
そして、一歩踏み出した時だった。
(なっ?! ヤバイ、もう、む、り…)
完全に零の意識は途切れてしまう。
***
意識を取り戻したときにはもう、遅かった。
零は“あの技”を出してしまっていたのだ。
『絶対に出さない』と唖李栖と約束をしていたのに。
「向日さん、避けて下さいッ!!」
咄嗟に叫ぶものの、無理だと言うコトは自分が一番分かっていた。
「っ?!」
ボールは向日の手首には“当たらなかった”
“当たらなかった”はずなのに。
「岳人、どないしたん?? ラケットが落ちてるで」
侑士の言う通りだった。
「悪ぃ。侑士取ってくれねーか?? 腕に力が入らないんだ」
岳人が言えば、侑士は苦笑いで岳人のラケットを拾う。
「ごめんなさいっ。向日さん、忍足さん」
ペコッと零は二人に向かって謝る。
「気にせんでええ。な、岳人」
侑士に振られれば、「あぁ」と呟いて。
「それにしても自分、コロコロ雰囲気が変わるなァ」
忍足は少し笑いながら言う。
「え??」
驚いたのは、もちろん英二。
「本当だぜ!! “殺気”出したかと思ったら、行き成り雰囲気が無くなってよ」
岳人の言葉で、零の表情は青ざめた。
「ま、おもろかったけどな」
忍足が笑いながら言えば、零はペコッとお辞儀をして。
***
「大丈夫、零」
自分達の席に戻るとき、英二が零の顔を覗き込む。
「え、あ。だ、大丈夫、です」
途切れ途切れに聞こえる零の声。
「ぜんぜん、大丈夫じゃないじゃん!! すぐに病院行かないと」
英二の声に零は消えそうな声で呟く。
「だいじょう、ぶ。ですよ??」
さっきまで引いていた汗が一気に出たようで。
「ほら、行くぞー!!」
竜崎先生が『来い』と言うコトを目で言っているのが分かったのだろう。
英二はニコッと笑って言った。
「はい。今、いき、ま……」
零の声が途切れたかと思うと、英二の方に倒れてしまった。
「篠鞍!!!」「零!!!」
『ナカマノコエガヒビキワタル』