二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: *+改×24+* ●テニスの王子様 and テニスのお姫様○ ( No.460 )
日時: 2010/03/30 22:24
名前: うっさー ◆8.9xsVkhDE (ID: HnQQx7lG)
参照: アァ。アタマガ、ガンガンスル。アンタ、シズカニシテヨ。

*+第百七十八話+*


試合が急激に変わったのは、その時からだ。

「篠鞍!!!」
竜崎先生の叫び声が響き渡る。
「あ、あはは。大丈夫、です」
零は空笑いをすると、ゆっくりと立ち上がった。

切原のボールは零の“膝”に当たっている。
そのはずなのに、零は足を止めることをしない。

「ぜってー、痛いだろ…。なのに、何で笑ってられるんだよ」
桃城が悔しそうに呟けば、リョーマは口を開いた。
「まだまだっすよ。桃先輩」
少し、頬を緩めていて。

「桃、ボールは“膝”に当たっていないんだよ。膝の上って感じかな」
不二は心配そうに試合を見つめながら言う。
「ボールは零の急所に一回も当たっていない。来る前に避けてるんだろう」
乾が言えば、周りはかなり驚いて。

***

「けほっ、ごほ」

ボールがお腹に当たれば、零は少し咳をする。
「悪かったね。当たる場所わからないから」
ニヤニヤ笑顔で言われれば、嘘だって誰だって分かってしまう。
「仕方、ないですよ」
零はそう言うと、静かに立ち上がった。

(と言っても、ちょっと今の場所は不味かったかな。頭が、痛い)
右手でこめかみを強く押してみるものの、頭の痛さは治らない。
(だめ、この状態じゃぁ、だめ。相手が怪我を、する。この前の、向日さんみたいにっ)
なんてコトを思ってる時だった。切原のボールが零の腹に直撃する。

***

嗚呼、駄目だ。


躯が動かない。


「篠鞍ァ!!」


誰。もう、無理なんだから。


「俺の仇を取るといっただろう。それは、嘘だったのか!!」


んなわけ、ないじゃん。



「お前が負ければ、相手の勝ちだ。それでも、構わないのか?!」


負けたくない。


「そしたら、お前は“約束を破って裏切る人間”になるんだ」


ははは。それは、それだけは。


「勘弁、ですよ。橘さんっ!! 僕は、約束を破って裏切る人間が大嫌いなんだからっ!!」


僕はそう言って、ゆっくりと立ち上がる。


だけど、決めなきゃ。





































僕は、器用じゃないから。



***

零はラケットを両手で握ると、気を引きしめた。
後ろでは、杏達のしゃべり声がする。

(絶対に、負けない。選んだから。ごめん、ありす)
零の目には、目の前の相手しか映っていない。
その時、赤也の頬が緩んだ。のを、零が見逃すはずもなく。
ぐっと、両手に力を込める。

「っと!!!」
相手のサーブは弾んでも、零の方には来なかった。
だが、真っ直ぐと後ろに向かっていくのを、零は感じて。

「っち」
舌打ちをすると、勢いよく走る。壁を足の力で蹴っていき。
ボールより先にフェンスに着いた零。
両足は壁の端でにあり、フェンスに衝撃が来ないようにしている。
































































「しまっ————————————————!!!」











































































零の言葉が最後まで続くことはなかった。




































***

地上に着くと、弾んでいくテニスボール。


































ガシャンと音を立てて、落ちる零のラケット。

























































































そして、音もなくコートに落ちていった、零。









































































「篠鞍!!!!!」「零!!!!」「零くん!!!!」























































仲間は口々に零の名前を叫ぶ。