二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: *+改×24+* ●テニスの王子様 and テニスのお姫様○ ( No.677 )
- 日時: 2010/04/18 20:17
- 名前: うっさー ◆8.9xsVkhDE (ID: HnQQx7lG)
- 参照: マモルモノガアルカラ、ボクハツヨクナレルンダ。ワカッテクダサイ。
*+第二百二話+*
「ごめんね、輪廻」
此処は、合宿所の医務室。
先生は運良く居ない。
「………、居るんですよね。出てきてくださいよ」
唖李栖の表情は見えないが、言葉を発すると、ベッドのカーテンが開いた。
「自分、よう分かったなァ」
「やっぱり、忍足さんと跡部さんでしたか」
唖李栖の表情は無表情だ。
「おい、話がある」
跡部の表情を見れば、唖李栖はクスッと笑う。
「何ですか?? なんて、聞かなくても分かりますけどね」
医務室のクルクル回る椅子に唖李栖は座る。
「はっきり言う。お前の姉への“執着心”は異常だ」
跡部の言葉に、唖李栖は椅子に乗りながらクルクル回った。
「おい、聞いてんのか??」
低い声で跡部は唖李栖に向かって言う。
「聞いてますよ。只、その問いに答える必要はないでしょう??」
唖李栖はクスクス笑いながら、跡部に言った。
「あるな。これは、部長としてお前に聞いてるんだ」
跡部が言うと、唖李栖はハァ。と溜息を出す。
「アイツに“執着”してるからって、貴方には関係ないはずだ」
唖李栖は2人を真っ直ぐ見ながら言う。
刺々しい言葉。
冷めた瞳、拒絶の表れ。
「でも、教えてあげても良いですよ。僕の部長ですしね」
クスッと唖李栖は笑った。さっきの雰囲気は何処に行ったのか。
「俺は輪廻のために、此処に居る。それは、ずっと変わらない」
無表情で言うものだから、跡部と忍足も無表情になる。
「だから、俺は守り続けなければいけない。自分の“存在意味”を示す人を」
唖李栖が言うと、忍足が「ちょっと、待ちぃ」と話をふさぐ。
「自分、賭けをしてるんちゃうんか?? それは、相手の為なんやろ??」
忍足が言うと、唖李栖は悲しそうに笑った。
「当たり前です。僕は敢えて、自分が負ける“賭け”をした。
そうでもしなきゃ、僕は、前に進めない」
唖李栖が言えば、忍足は口を開く。
「そしたら、自分と言ったことと矛盾、するんやないか??」
忍足は唖李栖に向かって言う。
「そうなります。でも、2つとも本当ですよ。2つとも、僕の気持ち。
相手に勝ってもらいたい。だけど、僕は一緒に居たいんだ。
輪廻が居なきゃ、僕の居る意味が、ない」
唖李栖は言うと、ニコッと悲しそうに笑った。
「これで分かりましたか?? 僕には“此処に居る理由”が必要なんだ。
それは、誰にも譲れない」
唖李栖はそこまで言うと、立ち上がる。
医務室の扉まで歩くと足を止め、跡部達の方をゆっくり見た。
その顔には、笑みが出ている。
悪魔のような、恐ろしい笑み——————————————………。
「ねェ、部長。もし、俺が自分を忘れてたり、輪廻でも止められなかったら、
俺を、殺して下さいね——————————————————————??」
そんな言葉を残して、唖李栖は部屋を出たんだ。
守ルモノガアルカラ、俺ハ強クナレルンダ。