二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: *+改×24+* ●テニスの王子様 and テニスのお姫様○ ( No.8 )
- 日時: 2010/01/24 16:18
- 名前: うっさー ◆/bzwarKBcE (ID: 3L0NyJ0C)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.php?mode=view&no=11996
*+第百三十話+*[輪廻の倒れた日の次の日]
「じゃぁ、迷惑はかけませんから」
唖李栖は跡部にそう言うと、跡部の用意してくれた車に乗る。
「忍足」
跡部が呼べば、もう一人の男が口を開く。
「なんや」
関西弁のポーカーフェース。
「アイツが暴れだしたら、どんな手を使ってでも止めろ」
跡部が言えば、忍足はフッと笑う。
「分かっとるがな。せやから、ラケット持っていくんや」
忍足の持っているのは、テニスバッグ。
(ごめんね、輪廻)
唖李栖は暴れないだろう。
だって、
彼の心の中には、
輪廻への罪悪感が残っているのだから。
***[立海大にて]
「で、何処に行くんや??」
忍足が聞けば、唖李栖はにこっと笑う。
「私服で来たので、忍足さんは見えない所に居て下さい」
『見えない所』全部、責任は自分で取ると言っているのだ。
「ま、唖李栖が暴走したら、俺が止めれば良いだけやしな」
とか言いながら、忍足は見るつもり。
「そうですね。自分でも努力しますけど」
ボソッと唖李栖が呟く。
(これが、コイツらしいんやけどな)
こんなことを忍足が思っているなんて、内緒。
「じゃぁ、また後で」
何もないことを願って。また、後で。
***[立海大のテニスコートにて]
(居た。紅蓮だけかな。さ、早く言いに行かないと)
唖李栖は周りを見回すと、相手の所に走り出す。
「やぁ、久し振りだね。唖李栖」
笑う相手を見ると、唖李栖は無意識のうちに、相手をフェンスに追い詰めていた。
相手の服の襟を思いっ切り掴んで。
「昨日、輪廻に会ったよね」
唖李栖が問う。平常心にしてるからこそ、何をするか分からない。
「こっちに戻ってきてたみたいだから、挨拶だよ」
ニコッと相手は笑う。
「ふざけるな」
唖李栖に似合わない、言葉。
「相変わらず君は、輪廻のことになると、必死だな」
紅蓮はフェンスに追い詰められているというのに、至って普通。
「煩い。それよりさ、僕は君と約束したよね」
唖李栖が言えば、相手は笑顔。
「もう、輪廻に会うなって、僕は言った筈だ」
唖李栖は真剣な表情で相手を見る。
「それは、唖李栖の嫉妬だろ??」
紅蓮が言えば、唖李栖が声を上げた。
「違う!! 僕は輪廻の悲しむ顔を見たくないだけ」
唖李栖が言う。本心から来た言葉。
「だから、輪廻にもう」
唖李栖が言ってる途中だった。
テニスボールが右腕に直撃したのだ。
「ッ?!」
痛みで相手の襟を離す。そして、ボールが来た方を見る。
「お前、何、してんの??」
冷たい声で唖李栖にボールを当てた人が言う。
「赤い、目??」
不思議そうにそして、痛みに耐えながらも唖李栖が問う。
「紅蓮先輩に何してんのかって聞いたんだよ」
今にも、もう一発やりそうな目。
「君には、関係なッ!!」
ツーっと頬から血が出る。
「スピンサーブと似てるけど、違う。紅蓮の新しい実験体か」
最後の方は聞こえないように呟く。
「赤く染めてやるよ」
ボールがバウンドして、唖李栖に向かってくる。
「悪いけど、此処で怪我しちゃうと、輪廻にバレるんだよ」
唖李栖はキツイ口調でそのボールを取る。
自分の顔を目掛けてきたボールを。左手だけで。
「僕は帰るよ。君みたいなのが居ると、面倒だからね」
唖李栖は呟くと、その場を後にした。
***[輪廻と那紅埜]
「それ、本当??」
輪廻が恐る恐る問う。
「えぇ。立海大とか言ってたかな。赤目の子にやられたとかで」
那紅埜の言葉を聞くと、輪廻は驚いたままで。
(唖李栖、知ってたんだ。紅蓮の学校。馬鹿だ。私、姉失格かもしれない)
「輪廻??」
那紅埜が相手を見れば、輪廻は真剣な表情。
「先に行くね」
走って輪廻は跡部邸のテニスコートを目指す。
『輪廻は俺が守る。だから、俺は紅蓮より強くなるよ』
——————— 君の悲しむ顔は見たくない ———————