二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: *+改×24+* ●テニスの王子様 and テニスのお姫様○ ( No.806 )
- 日時: 2010/05/03 22:02
- 名前: うっさー ◆8.9xsVkhDE (ID: HnQQx7lG)
- 参照: ミエナイバショヲ、ズットズットサガシツヅケテイル。
*+第二百十五話+*
「久し振り」
ガチャと唖李栖はドアを開けながら、笑顔で言う。
「おぉー!! 唖李栖、じゃねーか」
ビリーが笑顔で言うと、唖李栖の隣には眠そうな輪廻。
「ったく、私達が応援しなくても、平気なようなものを」
輪廻は嫌そうに周りを見渡す。
「輪廻」
唖李栖が小さく、少し厳しく呼びかければ、輪廻はにこっと笑う。
「次、試合だっけ。トムとテリーは」
輪廻は笑顔のまま2人に視線を移す。
「そうだよ。次は兄さんと、僕の試合」
テリーが言えば、「ふ〜ん」と輪廻は笑った。
「因みに、相手は忍足さんと英二兄ぃちゃんだよ」
唖李栖が言うと、輪廻は面白そうに笑う。
「そう。どっちが勝つのか見ものね。後さ」
輪廻はいつの間にか持っていたラケットの先を、ケビンに向けた。
「何だよ」
イライラしているのか、ケビンは輪廻を睨み付ける。
「アンタはリョーマと試合、出来ないよ??」
クスクス輪廻は笑っていて。
「どういう意味だ」
睨みは一層強くなっている。
だが、輪廻は涼しい顔のままで。
「そのまんま。アンタと試合するのは、切原さんだろうね」
輪廻はそう言うと、ジャンパーのポケットから棒つきのキャンディーを口に入れる。
「変わるとしたら、向こうが怪我をする。ぐらいなんじゃない?? アンタ達の監督からして」
監督と言った瞬間、輪廻の表情がどんどん歪む。
「私ね?? アンタの負ける姿が見たいの」
笑っている彼女は、悪魔だ。
「お前に足りないのは、“負ける”ってことだ」
キッと相手を見るのは、輪廻。
「ちょ、ちょっと待って。君は、輪廻だよね」
テリーが言えば、コクンと輪廻は頷く。
「私、口調が変わってきちゃって。あぁ、男装なんてするんじゃなかった」
輪廻は飴をペロペロ舐めている。
「男装??」
ケビンが聞くと、輪廻はしまったと言う表情。
唖李栖としては、大きな溜息だ。
「言っておくけど、邪魔だけはしないでよね」
輪廻の表情は無表情。
そして、何より、目が冷たい。
「私、青学ってトコに入学してるの。男の子、としね。
だから、アンタが憎んでる“越前リョーマ”とは同じ部活にクラスメイト。
“偶然”、じゃないコトぐらい、貴方にだって分かるでしょう??」
クスクスと、輪廻は笑う。
ボキッと歯で飴を砕く音だけが控え室に響く。
輪廻は食べ終わると、控え室のゴミ箱に棒を捨てた。
「んじゃぁ、頑張ってよ。あ、そうだ。トム達にしか頼めないんだけどさ」
ニヤッと笑う彼女には、企みが浮かんでいる。
「何??」
テリーが聞けば、彼女はテリーとトムの耳元で何かを言う。
「……、という訳だから、宜しくね」
ニコッと笑うと、唖李栖と一緒に廊下に歩いて行った。
向かうは、会場の客席。
***
「キャー!!」
などと、会場から響く。
それは、多分、トムとテリーへの悲鳴だ。
「あー…。うっさい…!!」
輪廻はイライラしながら、ボソッと呟く。
「我慢してよ、ね??」
唖李栖は輪廻を宥める。
今、二人が居るのは、出入り口の近く。
そこで突っ立て居る。
「座る場所がないなんて…」
輪廻は溜息混じりに会場を見渡す。
「そうだね。こんなに人が居るなんて思わなかったから」
苦笑いで唖李栖が言えば、輪廻も少しだけ笑みを見せて。
「兄さん、輪廻達じゃない??」
テリーが指差す先には、苦笑いの輪廻と唖李栖。
「そうみたいだな」
トムが少し微笑んで言えば、テリーは手を振り名前を叫ぶ。
「Hi!! Rinne&Arisu!!」
手を振って叫んでみれば、2人も笑顔で返してくれた。
「おいおい、あの2人、目立つの嫌いだった気が…」
トムが言えば、テリーは「そういえば」と呟く。
「それより、あっちの方が“菊丸 英二”であっちが“忍足 侑士”だよね」
テリーが言うと、トムは頷いた。
「さて、言われたことやらないと、輪廻は怖いからね」
クスッとテリーが笑えば、ニヤリと輪廻も笑う。
「さァ、ショーの始まりだよ。先輩方」
『トム、テリー。私、恨みがあるの。だから、あの2人に勝って』