二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: *+改×24+* ●テニスの王子様 and テニスのお姫様○ ( No.851 )
日時: 2010/05/16 00:29
名前: うっさー ◆8.9xsVkhDE (ID: HnQQx7lG)
参照: アイツハオレデ、オレハアイツ。オモシロイダロ??


*+第二百二十六話+*


結局、唖李栖は最後まで部活を出た。
さっきの試合とは対照的な試合をしながら、笑っていたのだ。
ずっと、ずっと。

***

「あー。疲れたァ…。青学の時よりも疲れる…」
最後の方は、誰にも聞こえないように。
輪廻はテニスバッグを持ち、制服。

「おい、あり…。チッ。………、輪廻」
跡部が輪廻を呼びかければ、輪廻の足は止まった。
「何でしょうか?? 跡部先輩」
ニコッと輪廻は微笑む。その姿は唖李栖そのもの。

「ちょっと来い」

そう言って、跡部は校舎裏に連れて行く。
と言っても、校舎と校舎の間。
テニスコートはすぐ近く。
もちろん、部室もだ。

「何の用でしょう。私に何か??」
輪廻はニコリともせずに、跡部に問う。
跡部は、輪廻の鬘を無理やり取った。
中にあった長い髪の毛が風に揺れる。

「さっきのお前は、誰だ」
跡部の真剣な眼差し。
(ほら、本題が来たよ。何、したのよ)
輪廻は心の中で大きなため息。

「関係ない。今は、他にもっと大切なコトが」
輪廻はそこで言葉を止めた。
他に大きな音が耳元でして、止めざるおえなかったのだが。

「邪魔なんですけど、手」
輪廻は両側にある手を睨みながら跡部に言う。
「理由を言え。じゃねーと、退かさねーぞ」
跡部の言葉に、輪廻はクスッと笑った。

「何、笑ってやがる」
跡部が睨みつければ、輪廻は相手を見る。
「男の人って、結局、みんな同じなんだな、って思って」
その言葉は、冷たい。
笑ってるものの、目は笑っていない。

「は?? テメェ何を」
跡部の言葉は遮られる。
跡部が次に見たのは、近くにある輪廻の顔。
輪廻が跡部のネクタイをぐっと自分の方に近づけたのだ。

「あぁ、アンタが人気なのも少しは分かった気がするよ」
輪廻は無表情のまま、跡部に向かって言う。
「アンタ、女慣れしてるね。こんなコトされても、顔色一つ変えない」
お前もな、と跡部は言おうとして止めた。

「どうする?? このまま、私を襲う??」
クスクスと悪戯っぽく笑っている目の前の少女。
「冗談でも、笑えねーぞ」
「冗談じゃない、って言ったら??」
まだ跡部の目の前の少女は笑っている。

「お前の弟に俺が、殺される」
「怖いんだ??」
跡部が言うと、直ぐに輪廻が言葉を挟む。

「お前、何がしたい。何が言いたい」
跡部の問いに、輪廻は何も言わない。
「お前は何で「あ————!!! 跡部が輪廻ちゃんを襲ってるCー!!!」」
跡部が話してる途中に叫んだのは、ジロー。

「な?! 違う、黙れ、ジロー」
跡部が反論してる間に、輪廻は跡部のトコを離れ、普通に帰っていく。
「あ、輪廻ちゃん!! 一緒に帰ろー??」
ジローが叫べば、輪廻の足は止まって、後ろを振り向いた。

「ごめ「良いじゃねーか!! 帰ろーぜ!!!」」
輪廻が断ろうとしてるにも関わらず、岳人が輪廻の肩に腕を回す。
輪廻は少し顔を歪めると、岳人の腕をトントンと優しく叩く。

「くるし…」
「あ、悪ィ!!」
慌てて離したのを見ると、輪廻はニヤッと笑う。

「知ってた?? 私って、嘘で自分を固めてるの」
そう言うと、思いっ切り走って行く。
「うわ?! ちょ、待て!!」
岳人達が追いかけて来るのも気にせずに、輪廻は走る。

「ったく!! 何処に、あんな体力あんだよ!!!」
岳人は舌打ちをしながら、走り続けていた。
後ろや前にもテニス部員は居る。
もちろん、何故、走っているかなんて知らない。

「けど、余裕そうやなァ…。みんなも、楽しそうやで」
クスッと笑うのは、岳人のパートナー、忍足。
「ムカつく…」
余裕、と言うのは輪廻のことだ。

「へェ…。氷帝ってのは、体力がないようで」
前で叫ぶのは、クスクス笑って余裕かましてる輪廻。
「絶対、捕まえてやる」
日吉は相手を睨むと、少しペースを上げる。

「まだまだだね。私、疲れてないもん。んじゃ!!」
クスッと笑うと、後ろに向かって手を振り、凄い速さで走っていった。





「おい、お前等」





跡部の呼びかけで後ろを見れば、車。
「乗れ。アイツに用があるんだろ」
走っていた者は、跡部の車に乗り込んだ。





***





『………、君は何を想う??』

微かにテニスコートから聞こえる歌声。

『“大嫌いだよ” 伝えられれば楽なのに』

ぎゅっと、締め付けられていく胸。

『嫌いになりたい。貴方のコト、大嫌いになりたい』

声は今にでも、消えそうなオト。

『だけど、好きだから。嫌いになれないの』

涙が出てきそうに悲しい声。

『気付いてよ。分かってよ。……、笑ってよ』

最後の方は、小さく小さく。

『ねェ、私を見て。見ないで。矛盾する想いが、』

誰もが息を呑んでしまう空間。

『私を支配する。ねェ、お願い』

きっと、この次の言葉は、輪廻の気持ち。















『ずっと一緒に居て。一人に、しないで』
















輪廻が唄い終わったとき、階段には追いかけて来ていた人達が揃っていた。
それを見ると、輪廻は一瞬だけ驚くものの、空の方に視線を移す。

「さっきの歌、何て言うん??」
忍足がニコッと笑いながら聞くと、輪廻はゆっくりと口を開く。
「さァ…。じゃぁ、悲恋。で、良いや」
悲しそうに笑うと、立ち上がる。服はさっきのまま。

「叶わない恋だと分かってるのに想い続けてる。何だかそれって、良いと思いません??」
輪廻は悲しそうにニコッと笑う。
「輪廻、こんなトコで何してるんだ?? と、氷帝のみなさん??」
そこに現れたのは、不二 裕太。と青学の人達。

「あ、さっき唄ってたのって、輪廻だったんだァ!!」
ニコニコ笑いながら絡んでくるのは、英二。
「何て言う曲なんだ??」
桃城が聞けば、「秘密です」と輪廻はニコッと笑う。

「やぁ、跡部達。こんなトコまで来て、どうしたんだい??」
不二が聞くと、跡部は輪廻を見る。
「いや、人が多いみてぇだから、明日また聞くさ。行くぞ」
跡部がみんなに言うと、ゾロゾロと帰っていく。

「………、伝わらない想い。捨てられれば、良いのに」

小さく小さく、輪廻は呟いた。








































































『会いたい。会って、抱きしめてほしいんだ。ね、もう一回笑って??』