二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: *+改×24+* ●テニスの王子様 and テニスのお姫様○ ( No.854 )
日時: 2010/05/16 23:03
名前: うっさー ◆8.9xsVkhDE (ID: HnQQx7lG)
参照: マモリツヅケル。キミノエガオヲ。ココロヲ。


*+第二百二十七話+*


「っ!! は、……、ふぅ…」

輪廻はベッドから飛び起きる。
「嫌な、夢。………、ありすは、居ないんだっけ」
ぎゅっと、輪廻はシーツを握った。

「今、何時…」
壁に掛かっている時計を見ると、輪廻は溜息。
「7時半。朝練、遅刻だ。もう、良いや」
輪廻は呟くと、ボトッと音を立てて、後ろに倒れこむ。

「ありすが居なきゃ、何も出来ないんだから…。馬鹿、ありす」
ポツリ、ポツリと呟く声は誰にも届かない。
「っ!! あーぁ!! 泣くなんて、私らしくない」
輪廻は叫ぶと、零れていく涙を拭う。

「悲恋、か。我ながら、凄いネーミングセンスよね」
横を見ると、楽しそうに笑っている自分“達”。
「何にしようか。“もう会わない君へ”ってのはどうかな」
クスッと笑って、手を伸ばす。

「………。駄目だ、家に一人で居ると、不安になる」
輪廻は立ち上がると、氷帝の制服に着替える。
「これと、これは洗濯機に。っと」
シーツ、枕カバーなどを洗濯機に入れると、家を出た。

「あ、裕太?? 今から、出れる??」
輪廻は少し浮いた声で話すと、向こうは無言。
『お前、今何時か知ってるのか』
裕太の声は、不機嫌だ。

「8時20分」
輪廻が即答すると、向こうでは深い溜息。
『俺は寮生活なんだ。会えるわけないだろ。それに、今から授業だし。それよりお』
説教が始まりそうだったため、輪廻は電話を無理やり切る。

「あーぁ。何、しようかな」
ストリートテニス場に着くと、ベンチに座った。
“学校に行く”と言う選択肢はないのだろうか…。

「10時ぐらいに行こうかな。あ、今から行って、屋上でサボるのも良いね」
携帯を取り出すと、レギュラー全員からメールが来ていた。
「電話も来てるし…。ったく。仕方ない。俺様の言うコトは聞かないと」
輪廻は立ち上がると、鬘を被り学校へ向かう。

***

「2時間目終了。よし、屋上に行こうっと」

唖李栖は小さく呟くと、屋上へ向かう。

***

「げ」

唖李栖は屋上に来て、嫌な顔をして一言。
「“げ”とはなんだ。俺様達が出迎えてや「一番、会いたくない」」
跡部の言ってる途中に、輪廻の冷たい声。

「はぁ…。嫌な夢見たってのに、何でアンタ達に会わなきゃいけないのよ」
輪廻は溜息をしながら、落ち込む。
「嫌な夢?? どんな夢見たの??」
優しく聞くのは、鳳 長太郎。

「関係ない。これは、私自身の問題。態々、話す意味もない」
輪廻の顔は変わらない。
「はぁ。唖李栖が居ないと、こんなにイライラするなんて」
輪廻は小さく呟くと、跡部に向かって何かを投げる。

「お土産。あ、昨日の謝礼?? ま、皆さんで分けてください」
輪廻は歩き出しながら右手で後ろに向かって手を振る。
すぐに両手をズボンのポッケに突っ込む。

「あとべー。何、貰ったの〜??」
ジローが聞くと、跡部はそれをジローに向かって投げる。
「飴?? レモン味だァ」
ジローは嬉しそうに、飴を食べ始めた。

「アイツ、何考えてやがる」
ぎゅっと、跡部は飴を握りつぶす。

『ありがとうございました』

過去形のメッセージ。

***[輪廻]

クククッ…。

良いのか?? 本当にあんなコトして。

初めから分かってたんだろう??

アイツ等があそこに居ること。

『何を根拠に』

あの飴だ。何時、書いたんだよ。輪廻。

『アンタに言われたくないね』

悪いが、俺とお前は一緒だ。

俺はただ、昔のお前なだけだろう??

『それが、苛付く』

喧嘩好きだったお前が閉じ込めたのは、この俺。

そして、全てを背負っているのは、お前。

似ているようで、似ていない。

『何、語っちゃってんのよ』

怖いねェ。輪廻は。

それとも、手が疼くのか??

『っ!! 黙ってて』

血が大嫌いなお前と、血が大好きな俺。

さァ、どっちが使えるかな。

『黙れ』

唖李栖が居ない今、有利なのはこの俺だ。

『お前の所為で、下らない夢を見た』

クククッ。

俺は、お前がしたいコトをするために、あれを見せたんだ。

見ていろ。お陰で、楽しめそうだ。

「なァ、嬢ちゃん。俺達と遊ばない??」

邪魔だ。目障りだよ。マジで。

『大会、出場停止になる』

大丈夫さ。分からないように、ボコすから。

『やめ、ろ』

クククッ。さァ、





「ショータイムの始まりだぜ??」





クスッと笑う俺。
「へぇ。威勢の良い奴はきら、なっ?!」
喋ってる奴が膝を付く。

「遊んでやるよ。“私”を倒せるかな…??」
クスクス笑いながら、俺は喋り続ける。
悪いな、唖李栖にずっと止められてたんだよ。

「戦い方教えたくせに、実践させねぇんだから…!!」
俺は喋りながら、相手を倒していく。
「んー…。良いね。赤」
手に付いた血をぺロッと舐めると、口内に広がる鉄の味。

「………、え??」
体に来た痛みに思わず声が漏れた。
「ぐわっ!!」
相手を倒してから、腕を見る。

「かすり傷か…。はは…」
俺は乾いた笑いをしながら、壁に寄りかかった。
「臆病になっちまったな…。色々な面で」
俺は小さく言うと、その場を後にした。

***


『ふざけないで…!!』

ガンッと鈍い音を立てて、少女は男を殴る。
『テニスは、傷つけるものじゃないっ!! いい加減、分かれ』
最後の方は、低く低く。

『次はない。次にやったら、どうなるか分かるよな』
ニヤリと笑うと、少女は髪を靡かせて去って行った。





『あぁ、紅は良いなァ…。安心する』





俺とお前は、離れられない。



















































『一生、一緒だ。輪廻……』



























唖李栖が笑顔を守るなら、





















































俺はお前の過去を守るよ。