二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: *+改×24+* ●テニスの王子様 and テニスのお姫様○ ( No.903 )
日時: 2010/07/03 23:45
名前: うっさー ◆8.9xsVkhDE (ID: HnQQx7lG)
参照: ナンデヨ!! ナン、デ…。ナンデ、ナンデッ!! ナンデヨゥ!!

*+第二百三十六話+*


「はぁ、はぁ、はぁ」

テニスコートの近くの水道で、少年は息を切らしている。

「帰りたい…」

少年は汗まみれになりながらも、上を見上げた。

「もう、7月、か」

寂しそうに呟くと、左右を見渡す。

誰も居ないことが分かると、「当たり前か」と小さく言う。

「よしっ!!」

水道の蛇口を全開にすると、鬘を取りそのまま頭を水の処へ。

「ひゃぁー!! 気持ちいい!! 水は宝だね」

首を左右に振れば、髪の毛から雫が零れ落ちる。

「って、おわ!! 着替え…。上着着ればいっか!!」

ニコニコ笑いながら、零。いや、輪廻は上着を着た。

さっきの表情は何処へ行ったのやら。

「ふぅ。こんなコトしても、苛々が収まんない」

ぎゅっとタオルを掴むと下唇を噛む。

「っ!!」

何を思ったか輪廻は、腕を下に振り下ろした、





はずだった。





「何する気だい??」

そう言ったのは、輪廻の愛しの彼の兄の声。

「別に。離して下さい」

輪廻は無理やり手を離させると、鬘を被る。

「越前を推薦したのは、君だね??」

笑っていない不二を見ながら、クスクス輪廻は笑った。

「良い刺激になると思ったのになァ。断るなんてなァ。無理なくせにさ」

クスクスと輪廻は笑う。その姿に、不二は眉を寄せる。

「何で、そん「壊したかったから」…、え??」

輪廻は驚く相手に「何でそんなコトしたか気になるんでしょう」と笑う。

「こんな日常、壊れてしまえ。って思ったから」

最後にクスッと目を細めて笑った。

「それは、君が男じゃないからかい??」

不二の言葉で、輪廻の表情が“不愉快”と言うものになる。

「あぁ、そうかもね。でもさ、このポジションも好きだよ??」

時々変わる言動。食えないやつ、と思わせる表情。

「だってね、ワクワクするの。騙してるってコトで。気持ちが上昇するの」

ニコニコ笑っている目の前の少女。

不二が口を開かけたときだった。









「—————————桃!!!」











声の主は英二。

零は慌ててコートを見ると、桃城がリョーマの襟を掴んで何かを叫んでいる。

「何でっ」

押し殺した声で言うと、水の入ったバケツを持って彼の元へ。


***


「零くん?!」

桜乃の声がコートに響く。

空のバケツを持っている零。

目の前には、水びたしのの桃城。

「悪いコトしたなんて、全く思ってませんから」

静かに、無表情の零は先輩に言い放つ。





“自分は悪いこと、何もしてない”と。










『してない、してないもん!! あ、あたしは悪いことなんてしてないもん!!』












泣き叫ぶ少女の記憶。





「っ!! ……、帰る」

ガタンと音を立てて、下にバケツが落ちた。

「篠鞍は、この後も試合があるよね??」

タカさんの問いに、零は無表情で言う。

「出ない。はぁ、元々出るつもりはなかったのに」

右手で頭を掻くと小さく呟いた。










「壊したい。嗚呼、どんな歪んだ表情[カオ]をしてくれるのかな」











誰にも聞こえない声で。





「銀花。“俺”、もう帰るから。あ、夕飯はお前」

そう言ってから、部室に入っていく。

「あ、うん。分かった」

銀花は慌てて頷いた。


***




『ねーねー、お母さん。あの星、なんて言うのー??』


『あれ?? あれはね、“天の川”って言うのよ』


『あま、あまのがわ…??』


『そう。彦星と織姫の年に一回出会う場所。貴方達の誕生日よ』


『ってことは、僕たちの誕生日に現る、星ってこと?!』


『そうだな。ちょうど、男の子と女の子だし良いんじゃないか?? なァ、母さん』


『ふふ。そうね、お父さん』


小さく笑うお母さんとお父さんを見て、あたし達も幸せを感じた。


***


「天の川…。誰も、“出会いたい”なんて思わないわよ」

輪廻は空を見上げ小さく呟く。

ぎゅっと、首に付けてるネックレスを握り締めながら。


***


天の川に願いを乗せよう。


“ずっと2人で居られるように”


“ずっと2人で笑っていられるように”


短冊に書いて、想いを伝えよう。


例え、それが“叶わぬ願い”だとしても—————————————……。





















『もう一度、輪廻とボクとお母さんとお父さんの4人でくらせますように』


『りんねがずっと、笑っていられますように』


『君が幸せでありますように』





















『唖李栖がずっと笑っていられますように。なんて、普通過ぎるかな』