二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: *+改×24+* ●テニスの王子様 and テニスのお姫様○ ( No.908 )
- 日時: 2010/07/06 21:56
- 名前: うっさー ◆8.9xsVkhDE (ID: HnQQx7lG)
- 参照: オソロイノユビワニオモイヲノセル。シンアイナルキミヘ。
*+第二百三十七話+*
「ねー、唖李栖ー」
ニコニコしながら、輪廻は唖李栖に近づく。
此処は、唖李栖の寝室だ。
「ん?? どうしたの、輪廻。もう寝る時間だよ??」
唖李栖は持っていた雑誌を横に置いて、ニコッと輪廻に笑いかける。
ギシッ——————————————……。
輪廻がベッドに座ると、軋む音が響く。
隣の唖李栖はきょとん。
「ね、ね、今日さ、一緒に寝ようよ」
「は??」
ニコニコ笑顔の輪廻と、なんともまぁ、間抜けな顔をしている唖李栖。
「だからさ、上の部屋で」
上を指差すと、唖李栖は納得したように頷く。
「星、きっと見えるよー」
輪廻はニコニコ笑う。
「良いよ。じゃぁ、毛布と枕持っていこうか。梯子とか出しといてくれる??」
「勿論!!」
輪廻はそう言うと、隣の部屋に入っていく。
上の部屋に続く階段は隣の部屋にある。
屋根裏部屋。みたいなものだ。
上は透けて、星や月が見える。
輪廻自身。自分が寂しくなった時に行く場所。
***
「綺麗だねー」
ぎゅっと、手を握りながら輪廻は言う。
「うん」
唖李栖もぎゅっと握り返す。
二人とも寝ながら、上を向いている。
「明日、合宿があるらしくて、一緒に居れないんだ。ごめん」
唖李栖の言葉に、輪廻は普通で「了解」と言う。
「予定、入ってる??」
「だいじょーぶ。裕太が会いたいって言ってたから、会えば打ち合いになるだろうし」
「そっか。なら良いんだ。でもね、お昼からだからさ、あの小物やさん行こうよ」
「あ、良いね!! またお揃いのもの買おうかー。明日は七夕だし」
「前は、指輪だったっけ。鎖入れてネックレスにしたよね。今もつけてるよ」
「私もだよ。……、ねェ、唖李栖」
輪廻は小さく相手の名前を呼ぶ。
唖李栖は輪廻の方を見て、「何??」と呟く。
「—————————何か、遭ったの??」
不安そうに、輪廻は唖李栖に聞く。
「何で、そう思うの??」
唖李栖も起き上がると、輪廻に問う。
お互いの手は握ったまま。
「だって、だって、おかしいもん。何か、今日ずっと悲しそうだよ…??」
今にも、泣き出しそうな姉を見ると、唖李栖は笑う。
「僕は、大丈夫。何が遭ってもずっと一緒。だから、ね??」
輪廻は分かった。“これ以上は聞いても無駄だ”と。
「……、おやすみ」
輪廻は横になると、すぐに寝息を立てた。
「眠かったくせに、意地張っちゃって」
クスッと唖李栖は笑いながら、輪廻の髪の毛を触る。
「僕は大丈夫だよ。そう、何が遭っても」
呟いた後に、携帯を出すと写真を見た。
そこには茶白い机に真っ赤な字が書いてある。
“紅姫を守りきれない蒼騎士”
ふざけるな、唖李栖は直ぐにそう思った。
直感したのだ。紅姫は輪廻で、蒼騎士は自分だと。
「でも、姫を守って自分は死ぬ騎士なんて、カッコいいと思わない??」
ニヤリと唖李栖は微笑む。
誰だか分からない相手に向かって。
『俺は此処に居る。逃げも隠れもしない。
だからさ、さっさと出て来なよ。
—————————弱虫な、誰かさん…??』