二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: *+改×24+* ●テニスの王子様 and テニスのお姫様○ ( No.916 )
- 日時: 2010/07/13 16:17
- 名前: うっさー ◆8.9xsVkhDE (ID: HnQQx7lG)
- 参照: シンジツハウソ。ウソハシンジツ。コレ、オマンノクチグセジャ。
*+第二百四十話+*
***赤也sibe
初めて見た、紅蓮先輩の怒ったような態度。
先輩達は分かってるみたいで、何かムカつく。
すっげー、苛々する。
俺だけが、分かんねーみたいじゃん。
でも、紅蓮先輩、どうしたんだろ…。
あー!! よく分かんねー!!
***
「あんまり、ふざけているようだと、怒っちゃうぜ…??」
紅蓮の声が妙に響く。静かなわけでもないのに。
「……、笑わせるんじゃなか。紅蓮が怒ったって怖くないぜよ??」
クックック、と仁王は紅蓮を見ながら笑う。
「おい、いい加減にしろよ」
「お前さんもの」
「雅治、お前何が知りたいんだよ」
「お前さんの過去、かのぅ?? 後、あの双子も気になるのぅ」
仁王の言葉に、紅蓮は眉を寄せた。
「俺の過去だと…?? 自分の過去も言わねー奴が言う台詞とは思えねーな」
紅蓮はあからさまに嫌な表情になる。
赤也はそんな姿を見て、凄く驚いているのだが。
「じゃが、あの2人がお前さんを嫌ってるのは絶対じゃ」
「だから何なんだよ」
「去年、行き成りお前さんが試合に出たい、って言ったのと」
仁王の目の前には、ラケット。
それは、いつも“彼”が使っているテニスラケット。
全員、見覚えがあるのは当たり前だ。
「俺より、弱いくせに余計な詮索するな」
それは、どんな声よりも低く、どんな物よりも冷たい。
「そうかもしれんのぅ。だがな、レギュラー入りを断った奴に言われとうない」
仁王に笑顔はなく、紅蓮を静かに見つめている。
「はは。確かにそうだな。だけど、これ以上詮索してみろ」
ラケットを左肩の真上で止める。
「脅しだけじゃ足らなくなる。これは、“忠告”だ」
紅蓮は言ってからラケットを鞄に入れた。
そして、後ろに居るレギュラー達を見てからニコッと“いつものように”笑う。
「俺、先に幸村の病室行ってるな」
赤也も着いていこうとしたが、柳に止められた。
「や、なぎせんぱ」
口が巧く回らない赤也。
きっと、さっきの紅蓮の雰囲気を感じ取ったのだろう。
「お前さんが怯えてどうするんじゃ。こっちの方が危ういんじゃ」
仁王の溜息が深く聞こえたのは、聞き間違いではないはず。
「でも、どういうコトッスか?? 紅蓮先輩がレギュラー入り断ったって」
赤也が聞けば、丸井、柳生、仁王は驚いた表情。
「知らなくて当然だろう。赤也が来る前だったんだからな」
柳が言うと、3人は納得顔。
「だ、だから何々ッスか!!」
赤也は焦りながら4人に聞く。もどかしいのだ。
「一つ忠告しておいた方が良いかのぅ」
仁王の言葉を赤也は待つ。
だが、それが“絶望”を意味するとはまだ、彼は知らない。
「あまり、アイツに近付かん方がええ。それに、アイツは幸村と同じいや、それ以上強い」
紅蓮先輩、何で嘘、付いてたんスか—————————……。
***
「気味悪いわよね、あの双子」
「聞こえるわよ??」
「聞こえないわ。それに、何なのあの女の子」
「自分の両親の葬式で泣かないなんて」
「気が狂ってるじゃない?!」
コソコソと、内緒話をする大人たち。
雨が降っている中で行われた、輪廻の両親のお葬式。
姉、輪廻は一粒も涙を流さず、静かに見ている。
弟、唖李栖は泣くのを堪えていた。
だから、“気味悪い双子の姉”。
似過ぎの二人は軽蔑され、罵られる。
だから、彼女は叫んだのだ。
“歪んだ世界”と。
『歪んだ世界に生きている私達は、もっと歪んでるのよ』
口端をニヤリと上げて。
彼女は呟くのだ。
『お前も、十分歪んでいるよ。ま、私には及ばないけどね』
朔夜は笑った。
『まぁ、歪んだこの世界も好きだけどね』