二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: *+改×24+* ●テニスの王子様 and テニスのお姫様○ ( No.920 )
- 日時: 2010/07/15 21:24
- 名前: うっさー ◆8.9xsVkhDE (ID: HnQQx7lG)
- 参照: ヤミヲキリサクモノ、ナハ“サクヤ”。
*+第二百四十一話+*
「すっげー…。全く、分かんねーよ」
そう言って双子を見るのは、向日岳人。
何人かはクスクス双子を見て笑っている状況。
「向日さん!! あんまり見てると、ボコボコにしますよ」
ニコニコ笑顔で言うのは、弟の唖李栖。
「うぅ…。那紅埜ー。服返せー」
姉の輪廻は、誰かのレギュラージャージの上着で、上半身を隠す。
「クスッ。良いじゃない、結構似合ってるんだし」
「良くないわ、ぼけー」
「仕方ないなァ。ま、写真は撮ったし。良いよ、着替えても」
那紅埜が言った瞬間、メイドが輪廻に服を返した。
事のはったんは、約一時間、ぐらい前。
***
「おっそーい!!」
輪廻と裕太が入って来れば、迎えたのはその一言。
「煩いわね。こっちはストリートテニス場から歩いてきたのよ」
輪廻が睨み付けながら言うのは、銀色の髪の少女。
「うっ。で、こっちの子は誰??」
銀花の視線が、裕太の方へ移る。
「一緒にテニスしてたの。不二先輩の“弟”で、裕太」
輪廻は気にする様子もなく“弟”と口にした。
「へェ…、君が??」
相手の顔を覗き込む様にして、銀花は裕太に問う。
「なんだよ」
その言葉に苛ついたのか、裕太の表情は不機嫌そのもの。
「いや?? 青学男子テニス部マネの瀬戸内銀花。君と同じ2年生だよ」
「不二裕太。聖ルドルフ男子テニス部、2ね、ん…?? 何でお前俺の学年知ってるんだよ」
裕太は驚きながら、銀花を見る。
「んー、不二先輩の弟なら、学年は下でしょう??
で、1年って可能性もあるんだけど、不二クンの場合は低かったからさ。
輪廻よりも背凄く高いし。不二先輩よりも高いし。
だから、2年かなーって」
銀花は「凄いでしょ??」と笑いながら、首を傾げた。
輪廻はクスクスと悪戯っぽく笑う。
「あ、裕太」
そう言って現れたのは、裕太の兄。
「兄貴?!」
もちろん、裕太も輪廻も驚いている。
「彼らね、たまたま会ったのよ。で、自分達も手伝いって言うから」
そう言いながら目の前の主催者は「やっほー」と笑う。
「氷帝が居るのも、全面協力だからね??」
ニコニコと笑っているのは、輪廻の弟。
「唖李栖」
小さく輪廻は呟き、ため息。
「さァさァ、二人揃ったし。コスプレタイムー!!!」
主催者の声に、意味が分からないと言う顔をする唖李栖。
「じゃぁ、二人とも、着替えてね」
輪廻は確信した。
“嗚呼、那紅埜も黒属性なんだね……”
***
「ちょ、ちょっと待って!!!」
輪廻の叫び声が、那紅埜の耳に入るがスルー。
「じゃぁ、あっけまーす!!」
那紅埜と銀花は笑顔で、輪廻の着替えている部屋のドアを開けた。
「輪廻ちゃん、可愛い」
桜乃の声が静かな場所に響く。
「にしても、何でウィッグ??」
朋香は不思議そうに輪廻を見る。
「何で、露出度が高めなのよー」
うぅ、と声を漏らしながら輪廻は、銀花と那紅埜を睨む。
「仕方ないじゃない。“小悪魔”をイメージしたんだから」
“良いでしょ”とでも言いたげな顔で那紅埜は言う。
「お金の無駄遣いー」
「ある内に使っておくのよ」
「いや、それは違うと思うぞ」
輪廻→那紅埜→宍戸の順番で喋る。
輪廻の服装はご想像にお任せします。
「じゃぁ、唖李栖、来てよ」
銀花が呼ぶと、唖李栖が居た部屋が開いて来た、はずだった。
「え、輪廻…??」
誰かの驚いたような表情と呟きが聞こえる。
「わ、輪廻。僕みたいな姿」
驚きながら、髪の長い少女は、輪廻に近づく。
「ありす。も、私みたい。ってか天使?? 唖李栖らしいね」
その発言に全員が止まったのは、言うまでもないだろう。
「にしてもすっげー!! そっくりじゃん!!」
「双子ですから」
「双子だから」
ジローの言葉に唖李栖、輪廻は同じ返答をする。
それが、さっきの結末、である。
***
「流石、双子だったね。そっくりだったよ。やるねェ」
そう言って輪廻に近付くのは、準レギュラーの彼。
「滝さん。えっと、ありがとうございます」
ペコッとお辞儀した時に、氷帝のレギュラーと唖李栖が出て行くのが目に入る。
「あれ?? 良いんですか、滝さん行かなくて」
輪廻が言えば、「あ、まぁね」と何とか誤魔化そうとする滝。
「そう言えばさ、唖李栖って凄いよね」
「え、そうですか??」
「うん。あ、テニスもだけど。人としても、ね」
「人として…??」
滝が言えば、輪廻はきょときょとん。
「知らない?? 彼さ、テニス部に入ってる人の名前とか全部頭の中に入ってるんだ」
滝の言葉に、輪廻は目を見開いて驚いた。
「え、でも」
輪廻の言いたいコトが分かったのか、滝は頷く。
「そう、200人も居るんだよ。跡部と唖李栖と監督ぐらいじゃないかな。
名前以外にも覚えてるのって」
ニコッと滝が笑うと、輪廻は笑いながら口を開いた。
「唖李栖は私にとっても、自慢の弟です」
そう、彼は世界一凄い、私の自慢の弟———————————……。
***
「あの話、ですよね」
唖李栖が言うと、跡部が「その後は」と一言。
「変わりないです。何時、来るかなんて分かりませんからもう疲れちゃいますよ」
はぁ、とわざとらしく唖李栖は溜息。
「お前、誰の仕業か分かってるのか」
跡部が聞くと、唖李栖はニコッと笑う。
「いや、有りすぎるんで全く分かりません。それに」
そこで区切れば、大きな窓から空を見上げた。
「喧嘩、してたんで恨みならいっぱい買ってるでしょうね」
寂しそうに、辛そうに唖李栖は答える。
「お前、これからどうするつもりだ」
跡部の厳しい声。
「氷帝に迷惑はかけません。だけど」
そこで区切れば、ニヤリと口端を上げた。
「売られた喧嘩は、買うのが礼儀ってモンでしょう??」
彼は妖しく笑った。
そう、彼は正真正銘の“悪魔”なのだ。
真っ赤な林檎をかじり、猛毒と言う名の海に溺れてしまった、悪魔。