二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: *+改×24+* ●テニスの王子様 and テニスのお姫様○ ( No.924 )
- 日時: 2010/07/17 17:26
- 名前: うっさー ◆8.9xsVkhDE (ID: HnQQx7lG)
- 参照: ボクガイナクナッタラ、カノジョヲマモルヒトガイナクナル。ダカラ、
*+第二百四十二話+*
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」
彼女は走る。
誰かに追われているワケでもなく。
ただ、ただ、
彼の元へ行くために——————————————。
彼女は思いっ切り扉を開けて、彼の名を叫ぶ。
「——————————————————唖李栖っ!!!」
***
それは数時間前のコト。
久し振りに零はテニス部に来ていた。
理由は簡単、“気が向いたから”。
まぁ、元々部員なので、誰も何も言わない。
渦を巻くのは、彼に対しての“疑問”のみ。
そして、自分を零の“婚約者”と言っていた銀花は数時間前、氷帝に資料を届けに行った。
いつもの日常。
いつもの風景。
いつもの、
いつもの、
「おかしい」
零の言葉がコートに響き渡る。
「部長、銀花は“まだ”ですか…??」
零が手塚に聞けば、何人かの者が驚いて、何人かの者は時計を探す。
「……、まだ帰ってきていない」
手塚の言葉で衝撃を受けたのは、零だけじゃない。
「何でそれを早く言ってくれない?!」
零が怒鳴れば、零は自分に向かって舌打ちをした。
(分かってる、分かってるさ。これは、八つ当たりなんだ)
零は下唇を噛むと、携帯を取り出し“彼”に電話する。
『こちらは、お留守番電話サービスです———————』
零の頭の中では、最悪の状態しか浮かばない。
「何で、こんなにモヤモヤするんだ」
零の呟きは誰にも聞かれることはなかった。
嗚呼、そう言えば。
情緒不安定のトキも、こんな風にモヤモヤしてたっけ。
ねェ、
双子ってさ、
相手が痛がってると、自分も痛くなるのかな。
***
その後だった。
銀花から泣きじゃくりの電話が掛かってきたのは。
まぁ、もっと大変だったのは零のコト。
直ぐに行くと聞かないし。
自分の正体を明かしそうになったり。
兎に角、竜崎先生の家で服を借りて、彼女の車で行くことになった。
ま、運転するのはベリーだけど。
そして、先程に至る。
***
「あ、りす。な、どうして」
彼女の舌は回らない。
彼女の目の前には、頭に包帯を巻いて、頬にもガーゼが付いている“彼”。
今のは目に見えるだけ。
掛け布団を捲ればきっと、足や腕にも傷が付いている。
輪廻がそれをしないのは、“恐怖”。
それだけ。
「りん、ね。ごめん、なさい」
目が真っ赤になっている彼女の頬には、涙の痕。
「どうしたの?? 何が遭ったの??」
冷静にしているつもり。
内心は、凄く焦っている。
泣きたい。
「変な人たちに、から、まれて!!」
ヒック、ヒックと銀花はまた泣き始める。
いや、元々彼女は泣いていたのだが。
「後、これ、輪廻に、って」
銀花から渡されたのは、白い紙。
「銀花は、中、見てない、けどっ」
そう言う銀花の頭を撫でれば、ポロポロと静かに銀花は泣く。
「———————————————っ!!!」
グシャ、と音を立てて、輪廻は紙を握り潰す。
「ごめん、銀花。ちょっと頭冷やす」
そう言って彼女は部屋を出て行く。
「ありす…」
自分の所為で、怪我をしてしまった弟の名を呟きながら。
『蒼い騎士敗れたり。紅き姫、あの場所で待つ』
ナァ、リンネ。
コイツラ、ツブサセテクレ。