二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: *+改×24+* ●テニスの王子様 and テニスのお姫様○ ( No.930 )
日時: 2010/07/18 21:03
名前: うっさー ◆8.9xsVkhDE (ID: HnQQx7lG)
参照: 愛シテル。今モ、コレカラモ。消エル事ノナイ想イ。

*+第二百四十四話+*


その日、何とか銀花と立海は仲良くなったらしい。
元々、幸村のお見舞いも銀花はちょくちょく行ってたのだ。
柳に言われてから、だけども。


そして、その次の日の放課後ぐらいの時間。



「あれ、あそこに居るのって。氷帝のレギュラー??」

輪廻が来たのは、1階。
色々な意味であの人達は目立つ。そりゃ、目立つ。

「皆さん。唖李栖に会いに来たんですか??」
いつもの様に輪廻はニコッと笑う。
まぁ、後ろから言ったので、何人かは後ろを振り向く。
その時、輪廻は驚いて目を見開いた。

「い、いや。今日は違うぜ」
宍戸はぐっと帽子を深く被る。
「何で、全員が傷作ってるんですか」
いつもの様な軽い声ではなく、冷たく鋭い声。

「か、階段から落ちちゃったの」
那紅埜が言えば、輪廻はゆっくりと彼女を見る。
「へぇ?? 全員が。氷帝も落ちたものね」
彼女の言葉に誰も反論できないでいた。

当たり前だ。こんなトコで反論したら、バレてしまう。

「……、近くの公園で“全部”話してもらうから」

否定をさせない、口調と冷たい視線。
彼女は髪を靡かせて、先に歩く。

***

「で、何が遭ったわけ」

彼女は跡部を見上げながら、真剣な眼差しで聞いた。

「誰だか知らねーが、“紅い姫”がどうとか言ってたぜ」

宍戸が言えば、輪廻は眉を寄せる。

「そーいや、侑士。唖李栖の机にも、紅い姫とか蒼い騎士とか書いてなかったか??」

岳人の言葉に輪廻は反応し、先程よりも“不機嫌な顔”。

「そう。それが聞ければ“もう良い”。気を付けて帰ったほうが身のためよ」

その瞬間、サーっと静かな風がみんなの横を通り過ぎる。

「何する気」

那紅埜が言えば、輪廻の口角が上がった。





「悪戯の過ぎる子犬には、お仕置きが必要でしょう??」




そう言い残すと、病院の中に入っていく輪廻。





残った者は、ただただ、彼女がじっとしてくれるのを願うだけだった。


***[病院の屋上にて]


ギシッ、と小さい音を屋上の扉が開く。
音が小さいおかげか、誰も開けた人物に気が付かない。
彼女はそれが分かると、ニヤリと笑った。

「あ、どうかしたの??」
銀色の少女はニコニコ笑いながら、“彼女”に問う。
「いや、風に当たりに来ただけだ」
そう言うと、一歩一歩と少女に近づく。

「…??」
赤也は輪廻をじっと見つめる。
一瞬、右目が光った気がしたのだ。

「仁王先輩」
静かに隣に居た先輩に声を掛ければ、仁王は「分かっちょる」と呟く。
「右目と左目、左右の色が違う。それに、黒じゃないナリ」
仁王の静かな分析に、赤也は若干、吃驚。

そして、彼女の格好は見たこともないような格好だった。
鬘、であろう髪は左右三つ網。そして、黒ぶちメガネ。
真っ黒いパーカーを着ていて、右胸には真っ赤なハート。
伸びる素材のズボンに、黒い靴。
首にはネックレス。腕にも腕輪が幾つも付いている。


「輪廻…??」
首を傾げる銀花。
「銀花、髪の毛を結んでお団子にして。“帽子”が被れるように」
輪廻の言葉を聞くと、銀花は少し時間をかけて髪を結んだ。

「輪廻、出来たけど。どう」

銀花の言葉が途切れ、輪廻の方に倒れていく。
そこに居た、立海のレギュラー陣は驚きだ。
だが、輪廻は気にする様子もなく、銀花をベンチに座らせる。

「ごめんね」

小さく呟いて。
輪廻はパーカーの帽子を被ると、鬘を銀花に被せる。
メガネも彼女に付けさせた。

「柳生さん」
行き成り名前を呼ばれれば、柳生は驚いた様子。
「銀花を唖李栖の病室のソファにでも、寝かしておいて下さい。
 唖李栖の病室、分かりますよね」
固定だ。

「分かります。ですが、貴方、何をしたか分かっているんですか」
柳生はメガネを上げながら、輪廻に問う。
これは、全員が聞きたかったコトだ。

「何を?? 見て分からないんですか。銀花を殴って気絶させたんですけど」
輪廻の目は見えないが、普通に言ってる限り“悪い”なんて思っていないだろう。
「貴様っ!!」
真田の怒鳴り声が響く。
此処には運良くレギュラー以外居ない。

「あーぁ、煩いな。もう、時間無いから行っても良いかな」
先程と、口調が一気に変わり、じっと全員を見つめる。
ただ、見ているのに、目の色が見えないのは何故なんだろう。

「何か、用事があるのかい」
こんな状況でも、怯まずに居られる幸村。流石、だ。
「あるよ。楽しい、楽しい用事さ」
ニヤリと口角を上げる輪廻。

「じゃぁ、柳生さん、頼んだよ。その子は私の大切な子、なんだから」

そう言って、パーカーのポケットに手を突っ込む。

「迷いウサギ、何処へ行く。
 “君達の仇”を取りに行く。
 だから、待っててね。

 きっと、

 君の元へ戻るから」


口ずさみながら彼女は、屋上を後にした。

「仁王、後を付けてくれ」
「分かっとる」

幸村が小さく言えば、仁王は輪廻の後を追うべく走る。

「俺達も後から合流しよう。柳生、頼めるか」
幸村が言うと柳生は頷き、銀花をお姫様だっこした。
「精市。早く行った方が良い」
柳の言葉に頷くと、全員が屋上を出て行く。

***

「お前ら、そんなに焦って何処行くんだよ」

紅蓮に会ったのは、銀花を病室のソファに寝かせた後だった。

「輪廻の様子が変だったんだ。何か、変な歌も唄ってたし」

幸村がそれを伝えると、紅蓮は目を見開く。

「具体的に言ってくれ。どんな歌詞だった」

全員が少し唸っていると、柳が口を開いた。

「迷いウサギや仇、そういう類のコトを言っていた」

紅蓮は下を向くと、自分に向かって舌打ち。

「っくそ!! 俺も行く。案内してくれ」

そんな、寂しそうな悔しそうな表情を見て、幸村は頷くしかなかった。


***


「あんた達?? 私に用があるってのは」





紅い髪の毛が風に靡く。





ニヤリと口角を上げて。





右目は金色。左目はワインレッド色。





「お前が…」





男の声が路地裏に響く。






「そう、私が






















 紅い姫。いや、闇を切り裂くもの。朔夜—————————」