二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: *+改×24+* ●テニスの王子様 and テニスのお姫様○ ( No.942 )
- 日時: 2010/07/24 21:47
- 名前: うっさー ◆8.9xsVkhDE (ID: HnQQx7lG)
- 参照: 貴方ハ私ヲ置イテ歩キ出ス。嗚呼、執着シテルノハ私ノ方カ。
*+第二百四十八話+*
「暑い…」
彼女はブラブラ歩きながら、小さく呟いた。
「ってか、私のコト見過ぎでしょ」
少しの隙間から周りを見てみれば、訝しげに自分のコトを見ているのが分かる。
まぁ、真夏に長袖の黒を着て、パーカーの帽子を深く被っているのだから、当たり前だ。
「ん…?? なーんか、物音がする」
少し小走りで、路地裏を見てみれば、奥の方で喧嘩。
「わぁお、気付かないもんかね。こんなに派手にやって」
彼女は普通に見ている。ごく普通に。
「あれって…。紅蓮の知り合い、だっけ」
彼女が見つめているのは、白髪(銀髪って言うのか)でツンツン頭の人。
「ふ〜ん。ある程度の人だとは思ってたけど、あそこまでだったとはね」
そんな時だった。彼女の肩に誰かの手が置かれる。
「ね、君今一人??」
ゆっくりと後ろを向けば、お決まりの台詞を言いながら彼は笑う。
「あれ、輪廻ちゃん??」
彼の言葉に、“輪廻”は目を見開いて驚く。
「久しぶりだね。え、もしかして、俺のコト覚えてない?? 合宿に居たんだけど…」
オレンジ色の髪の男は、“輪廻”の顔を覗き込む。
「覚えてる。ダンクスマッシュ打つ人でしょう??」
彼女が言えば、千石は苦笑い。
「それより、何を見てるの??」
「スポーツマンに、見るのお勧めしませんよ」
彼女が言うのにも関わらず、千石は奥の方を見る。
「あ!! 亜久津じゃん!!」
彼女が驚いたのは、千石があそこに居る誰かと知り合いって言うこと。
「誰ですか、その人」
彼女が聞けば、千石は「ほら、あれだよ」と指差す。
「あの人、亜久津って名前なんですね」
彼女が知っている人物と同一人物だった。
「う〜ん、止めなきゃ俺が伴爺に怒られるからなァ」
千石はめんどくさそうに、頭を掻く。
「一発で止まる方法教えてあげましょうか」
ニヤリ、と彼女は口角を上げる。
「“紅髪が怒るよ”とでも言ってくれれば大丈夫です」
千石がよく分からず、一歩踏み出した時。
「待て」
ぎゅっと、千石の手首を掴む腕は強くもなく弱くもない。
ただ、少しだけひんやり、と冷たかった。
「それだけじゃ、詰まらないだろう…??」
ニヤリ、と笑う少女は、先程よりも妖しく美しく笑う。
「“紅髪の天使が笑う”って言ってくれれば構わないよ」
千石は、亜久津に近付く。
「亜久津ー、“紅髪の天使が笑う”だって」
千石はいつものように、笑顔で亜久津に言う。
「あぁ゛??」
亜久津が振り向けば、ニコニコ千石と向こうには黒い服。
「チッ。仕方ねぇな」
ドサッ、掴んでた胸倉を離す。
「お、おい!! 逃げんのか?!」
そこに居た男が言う。
「テメェら、紅髪知らねぇわけじゃねぇだろ」
相手を睨み付けながら、亜久津は呟く。
「そんな奴、どうでも」
男の横を空き缶が通り抜ける。
「へぇ…。私も、居ない間に噂が消えたようね。でも」
ニヤリと笑って、ゆっくりとパーカーの帽子を取った。
「悪戯の過ぎる子犬には」
ゆっくり、ゆっくりと一歩一歩進んでいく彼女。
「躾、が必要かしら——————————————……??」
膨大な存在感を出しながら、彼女は笑う。
それに怯んだのか、男たちは闇の中に消えていく。
「久し振り、亜久津って名前だったんだな」
ごく自然に彼女は笑う。
「会いたくもなかったがな」
亜久津は横目で彼女を見た。
「何々、亜久津、輪廻ちゃんと知り合い??」
千石は不思議そうに亜久津を見る。
「輪廻、だと??」
「朔夜で構わない」
訝しげに見る亜久津を他所に、朔夜は無表情。
「まぁ、良いや。ね、今度俺とデートしようよ」
ニコニコ笑う千石。
「フッ。構わない。だが、私の気が済むまで連れ回すからな」
ニヤッと彼女は笑う。
「え、」
「嘘だ」
「一々、反応すんじゃねー」
千石→朔夜→亜久津の順番で話していく。
「じゃぁ、メアド教えてよ」
「亜久津、お前もだ」
亜久津の携帯を朔夜は奪うと、自分のアドレスを入れる。
彼女の携帯には、いつの間にか沢山のアドレス。
「……、嫌なコトばかりではない、と言うことだな」
安心したように笑えば、携帯を鞄に入れる。
「亜久津」
透き通るような声で、朔夜は彼の名前を呼ぶ。
「何だ」
振り向きもしない亜久津。
「私は、ストリートテニスコートに行く予定だ」
「だから、何だってんだ」
苛付き始める亜久津と冷静な朔夜。
「運んでいけ」
「は??」
思わず亜久津は振り向いた。
フッと彼女は笑う。
「頼んだぞ」
そう呟いて、目を閉じれば、亜久津の方に倒れこむ。
勿論、避けるわけにはいかないので、支える。
「俺に指図すんな」
彼の小さな呟きが、暗闇に消えていく。
『あ、お前“亜久津”だろ?? 人助けだと思って俺に手伝ってくれ!!
モンブラン、幾つでも奢るからさ!!! 頼む!!』
『10個だ』
『は??』
『10個で手、打ってやるっつてんだよ。乗るのか乗らねーのかハッキリしろ』
『10個だけで良いんだな?? よし、乗った!! んじゃぁ、行くぜ!!!』
『君ハ誰。私モ誰』