二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: *+改×24+* ●テニスの王子様 and テニスのお姫様○ ( No.944 )
日時: 2010/07/24 23:51
名前: うっさー ◆8.9xsVkhDE (ID: HnQQx7lG)
参照: 一緒ニ歩イタ帰リ道。モウ、君ガ居ナイト実感スル。


*+第二百四十九話+*


誰かの声がする。

私の名前、を呼ぶ声。

あれ、でも

“私”の名前ってあったっけ。

大好きだった名前。

それはいつしか、嫌いになってた。

いや、好きなのかな。

もう、分かんないや…。

“凄い”ことを“当たり前”のようにしなくちゃいけないこと。

それに失敗すれば“体調が悪い”ってことになる。

私、そんなに凄い人間じゃない。

みんなと同じ、なのにな…。

重圧[プレッシャー]が怖かった。

何も感じなくなっちゃいそうで。

何も分かんなくなっちゃいそうで。

何も見えなくなっちゃいそうで。

怖かった。

だから、“逃げる”ことを選んだ。

私は弱い。

だけど、強くなくちゃいけないから。

人一倍強くなるように特訓した。

あ、たまに休んだけどね。

でもね、それが“当たり前”になっちゃってるんだ。

どんどん向上していく人達を見て、羨ましく思った。

もう、私は伸びない。

頂上に上はないのだから。

目指すもの、なくなっちゃった。

へへ、またやりたいな。

みんなと、テニス。

後、君に想いが伝われば良いのに。


ぎゅっと、私を抱きしめて唖李栖は泣いていた。

“一人にしないで”って言って。

それは、違うんだよ。

一人になってるのは唖李栖じゃなくて、“私”なんだよ。

二面性を持って、仮面を被る私なんだよ。






君は歩く。





先に進んだって思ってる、姉を追いかけて。





でも、違うんだ。





私は進まない。否、進めない。





絡みつく、蔦が、棘が、私を動かさせない。





君の前では笑って言う。





“大丈夫。先に行っててよ”





君はまた歩む。





でも、本当は。









「ひと、り、に……、しな、い……、で」










***



「ひと、り、に……、しな、い……、で」

ぎゅっと、少女は不二のシャツを握る。

此処はストリートテニスコートのベンチ。

不二の膝に少女の頭があり、小さく寝ている。

鞄は汚れないように隣のベンチ。

まぁ、そこには裕太、裕太の先輩方、不動峰(一部)、桃城、リョーマ、不二の鞄もある。

「………、暁野宮??」

ぎゅっと握ったまま、彼女は眠っていた。

目は閉じたまま、涙も流れていて。

「あき「ゆー、た」」

小さく小さく彼の名前を呼んだ。

一瞬、不二は驚いたが嬉しさが込み上がる。

「輪廻。裕太は君のコト一人にしないよ」

彼女に向かって言えば、ピクッと動く。

「不二、せんぱ、い…??」

輪廻は目をぼやー、っとさせながら起き上がる。

目には涙の痕。

「寝てる、って千石達が連れてきてね。もう、平気…??」

不二は優しく彼女の涙の痕を触って拭う。





彼女は少しきょとん、としてから頬を緩ませた。



















「大丈夫ですよ」


















その姿は、儚く弱く脆い。




























「………、全然、大丈夫なんかじゃないじゃないか」





































気付いて欲しい、と言うのと、気付いて欲しくない、と言う矛盾。