二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: *+改×24+* ●テニスの王子様 and テニスのお姫様○ ( No.965 )
- 日時: 2010/08/02 18:25
- 名前: うっさー ◆8.9xsVkhDE (ID: HnQQx7lG)
- 参照: The falsehood is true. The truth is feigned. Which is genuine??
*+第二百五十四話+*
「幸村。入るからな」
コンコン、と扉をノックしてから、紅蓮は病室に入る。
「やぁ、紅蓮。そこに座って」
幸村に言われ、紅蓮はベッドの横にあった椅子に座った。
「誰か、来てたのか」
紅蓮は無表情のまま、幸村に聞く。
「うん。知り合いがお見舞いに来てくれたんだ」
ニコッと幸村は笑うものの、目は笑っていない。
「笑うなら目も笑っておけよ。バレバレ」
呆れた様に言えば、「やっぱり??」と相手は笑う。
「じゃぁ、話してもらおうかな」
幸村が言うと、紅蓮は小さく頷く。
***
俺が1年のとき、あの双子に出逢ったんだ。
俺、初めて逢った時驚いたよ。
あの双子の身体能力に。
尋常じゃなく、高かったんだ。
そして、俺は。
自分の欲に負けた。
俺の目は確かだったらしく、直ぐにテニスも覚えたよ。
技だって、俺が教えれば直ぐに出来るようになった。
何時の間にか、あの双子のコト、本当の兄弟みたいに思ってた。
“実験”のつもりが、だ。
別に、そんな感情なくなったから捨ててた、つもりだったんだよ。
“長く続けば”なんて、儚い願いをずっと思ってた。
だけど、
ある日、双子の親が族に殺された。
唖李栖は救急車の後に、俺へ電話して来た。
そしたらさ、驚いたよ。
輪廻は泣くの我慢してて、唖李栖の方が泣いてた。
いつもなら、絶対に有り得ない光景。
そこまでなら、俺だって何とか出来たさ。
その後にも続きがあるんだよ。
何ヶ月か経ったある日。
夜、何となくうろついてたらさ。
見たんだよ、あの双子が喧嘩してるのを。
“紅髪の朔夜”と呼ばれし、輪廻。
“蒼い騎士”と呼ばれし、唖李栖。
勿論、問いただした。
でも、輪廻は“知らない”の一点張り。
唖李栖は認めたから、そんなコトをするな。って釘を刺しておいた。
だけど、唖李栖だって目の届かないところはある。
それが、現実になった。
今までとは比べ物にならない程の喧嘩をしてたんだよ。
だから、俺は“怪物”と呼ばれてた亜久津と一緒に止めた。
本当、今だってあの時の感触覚えてる。
もう輪廻は輪廻じゃなくなってた。
“朔夜”そう呼ばれているうちにもう一つの人格が生まれつつあってな。
生まれる前に、と思って俺は、俺は…。
***
「アイツ等を裏切った」
妙に、響く紅蓮の声。
「たまたま、竜崎先生と知り合いでさ、その人に輪廻達の事をお願いした」
静かに紅蓮は幸村に向かって言う。
「丁度、竜崎先生が銀花の知り合いのベリーと友達で、アメリカに送ってもらった」
幸村は真剣に、彼の話を聞く。
「それで全部だ。ま、大間かに話してるんだけど」
ヘラッと紅蓮は笑ってみせる。
「そう。有難う」
何故か、幸村の笑顔が紅蓮は気に入らない。
静かにドアが開く。
花瓶を大切そうに抱えて、彼女は口を開いた。
「The falsehood is true. The truth is feigned. Which is genuine??」
「“偽りは真実。 真実は偽り。 どっちが本物??”か」
彼はフッと寂しそうに笑う。
「分かりきった質問すんなよ、輪廻」
彼女は彼を見る。
だが、瞳は何も映さない。