二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: *+改×24+* ●テニスの王子様 and テニスのお姫様○ ( No.978 )
- 日時: 2010/08/13 22:53
- 名前: うっさー ◆8.9xsVkhDE (ID: HnQQx7lG)
- 参照: ネ、ホラ。私ハ大丈夫!! ジャァ、ネ。バイバイ。
*+第二百六十話+*
こんちわわ、今日は裕太と約束の日です。
昨日、唖李栖は退院して、荷物も全部送るように頼んだ。
銀花は今日、ってかさっき飛行機に乗ってアメリカに帰る。
………、一足先に。
何か、用があるらしい。
私は知らないけど。
で、唖李栖はゆっくりしたくて、家に帰った。
私??
私は、裕太との打ち合いに行くんだよ。
だから、今はストリートテニス場に向かっている。
最後の打ち合い…、になるのかな。
なんて思いつつ。
***
「はー、疲れたー」
ベンチに思いっ切り座り込む輪廻。
「そりゃ、15ゲームもぶっ続けでやれば、疲れるだろ」
裕太は言いながら、輪廻にスポーツドリンクを渡す。
「ん。………、ぷはー!! 生き返るー!!」
「何処のおっさんだ、お前」
裕太の突っ込みをスルーし、輪廻は普通に飲み続ける。
その後、テニスやったりスポーツショップ行ったりなどして1日を過ごした。
そう、彼にとっては“また”来るであろう輪廻との日。
だけど、彼女にとっては、“もう”来ないかもしれない日。
***
「うわー、日本の夕日って何時見ても綺麗だよね。アメリカもだけど」
坂をゆっくり歩きながら、輪廻は言う。
この坂を上りきったら、もう分かれ道。
そしたら、本当の“お別れ”だった。
「まぁ、夕日はこんなもんじゃないか??」
と、輪廻の前を歩く裕太は言う。
「酷いなァ。雰囲気ぶち壊しー」
あはは、と言うものの、輪廻はあんまり笑顔じゃない。
そんなの裕太に分かる訳がない。と輪廻は高をくくっていた。
「後、少しだから、よ」
プイッと横を向きながら、差し出す左手。
一瞬、輪廻は驚いたが、それは直ぐに変わった。
泣きそうに嬉しそうな顔に。
「……、っ!! 仕方、ないなァ」
そう言って、その左手を自分の右手に絡ませる。
「もうすぐ、全国大会だな」
ゆっくり、ゆっくりと歩幅を合わせながら、二人は坂を上る。
「だねー。私も、試合だー」
ちゃんと、笑えているかな。
ちゃんと、喋れているかな。
ちゃんと、
ちゃんと。
「ゆっ、た」
それでも、裕太は何も言わずにぎゅっと、手を握る。
「試合、頑張るからね」
もうすぐで、終わる坂道。
「あぁ、また日本帰ってきたら、電話しろよ」
その言葉に、輪廻は頷くことが出来なかった。
「忘れなかったらね!!」
ニィ、とおどけて笑ってみせる。
「輪廻は、自分が思ってるほど強くないんだから、俺を頼れよな」
ボソボソ、と呟く彼に輪廻は優しく笑った。
「バァカ。私は大丈夫!! じゃぁね、バイバイ!!」
勢い良く手を振ると、分かれ道に走っていく。
「………、ばいばい」
小さく、後ろを向きながら、輪廻は呟いた。
君が居た日々は、毎日が輝いて見えたんだよ。