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*標的２０*【記憶】

***

—5年前

『ガシャァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!』

「大変だー！お嬢様がまた暴走してしまわれたぞ！」

誰かが…叫んでる。

あそこをふらふらと歩いているのは…12歳の私。

体に金とオレンジ色のオーラの様なもの…死ぬ気の炎とは違う何か…
を纏って操られたように物を壊していく。

そうだ…この時の私は、すごく悲しみに包まれていたんだ。

誰か相手にしてって

助けてって

見捨てないでって…。

だから、力を抑えきれず…暴走してしまった。

この時…何人の人を困らせたのだろう？

何人の人に…怪我を負わせてしまったのだろう？

私は…そう、犯罪者。

「皆…なんで逃げるの？」

呟いている12歳の私。

「なぜ…ニゲルノダ？

　私は…ナカヅキミホなのに…」

ところどころ片言になっている私。

そういえば…この時だけは無口になってしまったような。






























あぁ…“人格が変わる”ってそういうこと。

ふふ…なぁんだ。

これくらいのことじゃない。

大したことない。本気で戦うときに人格が変わるだけ。

強くなればいいじゃない。

あ、あの時の私は捕まったんだ。
そして、記憶とともにこの大きな力を封印されてしまったのね。

でも…この5年間で力は完全なものとなった。
むしろ…おかげでさらに強くなったわ。


力を完全に支配することに成功した私は、まず憎き父を消してしまおうと考えた。

「マッテテネ…イマスグ消シテアゲルカラ。」