二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 君の笑み、そして涙。【イナズマ短編集】 ( No.17 )
- 日時: 2010/02/13 20:48
- 名前: ぺりどっと (ID: SLKx/CAW)
第10話 困惑
吹奏楽部のヤツラは最後まで
否定し続けると、ヒソヒソ話を
しながら行ってしまった。
これは後から知ったことだが、
アイツらは俺の非公式ファンクラブを
立ち上げようとしてた集団らしい。
全く、困ったことだ。
「鬼道くんは、私が嫌なヤツだと
思わない……?」
見上げた笠峰の顔には、しずくのあとが
残っていて、目も潤んでいた。
俺はこのとき、何が起こったか
わからない。ただ、笠峰を抱きしめていた。
すると、何かから解放されたかの
ように泣きじゃくった。
まるでそれは、昔の春奈のようだった。
いじめられては、いつも俺の
胸元で泣いていた——。
「1人じゃない、1人じゃないんだ」
俺は、言葉通りのことを
伝えたかった。
帰宅後、もちろん俺は
問題の『抱きしめた』という事実に
顔が赤くほてった。
「突然だが有人」
夕食のとき、父さんがにこやかな
笑みを浮かべながら話しかけてきた。
「なんでしょう」
「おまえの婚約者が決まったんだ」
「……??」
俺は空耳が聞こえたのか、もしくは
夢を見てるのかと思った。
だが、目の前にあるステーキは
残念ながら本物だった。
「こ……フィアンセ、ですか?」
「いいなずけ、とも言うな」
父さんは一旦そこで間を取り、
「安心したまえ。見合い場所には
3階のダイニングルームを使う。
料亭やホテルだと、かえって緊張して
しまうからな。それはよくないだろう」
婚約者、フィアンセ、いいなずけ……
そして見合い……
中学2年生がそんなことして
いいのかっ?いや、絶対よくないだろ!
(ただいま混乱中につき、キャラ崩壊)
気になったことを恐る恐るたずねてみた。
「その、フィアンセって誰でしょうか?」
すると父さんは口角を上げて、
「当日までのお楽しみだが、ヒントを
1つやろう。決まった婚約者は、有人が
よく知っている人だ」
と返答した。
ベッドに入っても、なかなか眠れなかった。
俺の使命は、鬼道財閥の次期会長に
なること。そのために、鬼道家での
義務は果たさなければならない。
もちろん、今回のことも義務に
入るし、当然その通りにしなくてはならない。
そのとき笠峰の顔が頭をよぎった。
——婚約者は笠峰だったりして。
って何考えてるんだ俺!!
続く!!