二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 第0話 憧れの地 ( No.2 )
- 日時: 2010/02/03 23:47
- 名前: 雛苺 (ID: 0wDrexNa)
オギャアオギャア、とドアの向こうで泣き声が聞こえた。
「・・・・・・泣き声?子供?」
「いや、あんたの身体は子供が産めにくい体だから産んでないよ。はて、何だろうね?」
町で有名な産婦人科の先生が玄関のドアを開けた時、茶色の籠と白いおくるみがあった。
中にいたのは茶色の髪をした女の子の赤ん坊と星がついた大きい杖。
「おやま、捨て子だよ。しかも、田舎のさらに端の」
「まぁ」
「可哀想に、子供は生む親を選べない。さて、あんたの診察も終わったし、私はこの子を役人のところに連れて行くね」
「あ、待って先生」
籠を抱き上げた先生を見て、私は思わず先生を止めてしまった。
「その子、私が育てちゃ駄目かしら?」
「突然何を言ってるいんだい、あんたにはもう夫がいない。女手一つで育てるのは骨が折れる仕事だよ」
「分かっています。でも、その子は私から離れたくないと言ってるわ。それに、私にはあの人の分まで頑張る責任があるもの」
「再婚でもして子供を生めばいいじゃないかい。あんたなら出来るだろう?」
「いいえ、私の最愛の人はあの人だけ。だから、私は死ぬその時までその子を育てたい。て言うのは、ワガママですか?」
「いいや、あんたの言う通りだよ、ハルコ。分かった。今日からこの子はお前さんの子供だよ。でも、二人だけの秘密だよ。安心しな、私はもう長くないから黙っているよ」
「ありがとう、先生」
そう言いながら先生はその赤ん坊を私に渡した。
「それで、その子の名前はどうするんだい?」
「そうね・・・・・・。もし私が男の子を産んだら、【逞しく強く生きる子】でいますように望む子、【タクマ】と名付けるつもりだけだったけど。この子には・・・・・・・・・【凛々しく強く生きる子】でいますように望む子になって欲しい。————リク、がいいわ」
それが、あたしが12歳の時に明かされた真実だった。