二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

第0話 憧れの地 ( No.5 )
日時: 2010/02/06 16:24
名前: 雛苺 (ID: 0wDrexNa)

気持ちいい潮風が吹いている発着場で、あたしは身を寄せ合って戯れるつがい同士のドラーグを眺めていた。
ドラカーゴのドラーグはつがい同士の二組。つがい同士なら安全に運送が出来る為らしい。
「そういえば、魔法院を案内してくれる人が来るって言っていたけど・・・・・・、まだかな?」
そう思いながら潮風を浴びていると、
「ごめんなさいっ!遅れちゃいましたっ!?」
「えっ?」
耳に入ってきた謝罪の言葉に振り向いた瞬間、ドテッ!と、勢いよく派手に転んだ音が聞こえた。・・・・・・しかも、何もない場所で。
転んだのはあたしと同じ制服を着ている生徒で、フワフワの桃色の髪を一つ結びにした可愛い女の子だった。
「・・・・・・・・・だ、大丈夫?」
あまりにも派手に転んだので、心配に恐る恐る聞いてくると、ガバッと起き上がる。
「う、うん!全然平気よ!」
そう笑いながら立ち上がり、制服についた土埃をパンパンと払う。マントにも付いていたので、あたしも手伝って土埃を払う。
払っている途中、彼女の制服を見て少し疑問に思った。
彼女の制服は妙に新しいので、彼女は転入生かないかかもしれない。そう思っていると、彼女は笑顔で話しかけてくる。
「初めまして、ルルです。えっと、あなたがリク・・・さん?」
「そうだけど、敬語は要らないよ。まだ15だから」
「えっ?それじゃあ、私と同い年なの?」
「・・・・・・同い年、なの?」
「うんうんっ!」
そう頷くルルと名乗る彼女を見て、信じられないと思った。
15歳にしては少し幼っぽく、可愛らしい顔立ち。背は少し低い。とても15歳とは見えない。
・・・まぁ、そう言う自分も言えないけれど・・・・・・・・・
「それじゃあ、学校に行きましょう?先生達が待ってるわ」
「そうだね、それじゃあ一緒に行こっか」
そう言いながらあたしはルルと一緒にラティウムへと向かった。

一の門で審査をした後、あたしは少し目を手の平で押さえながらよろめき歩いていた。
「リク、大丈夫?もしかして、あの魔法陣の所為なの?」
ルルの言うあの魔法陣は、一の門に仕掛けられた【束縛の陣】だ。
その魔法陣はラティウム魔法省の身分証明書や許可がある者を審査する働きを持っている。
しかし、もしそれが偽装されている物であればすぐに陣が動き始め、その者を捕らえる仕組みになっている。
審査が終えて魔法陣が光り始めた為、あたしは眩暈を起こした。・・・正直きついです。
「へ、平気・・・。少し眩暈しちゃっただけ・・・・・・」
「私も初めて来た時には眩暈を起こしちゃったの。だから、大丈夫よ」
「それならいいけど・・・」
ルルと歩き始めて数分した場所、噴水広場までやって来た、ルルが「少し休憩にしましょう」と言うので、あたしもまだドラカーゴに乗った疲れがある為、噴水の傍にあったベンチに座る。
「ねぇねぇ、リクの媒介って何?」
「え?杖だけど・・・、それがどうかしたの?」
「ううん、別に深い意味は無いんだけど・・・・・・、ちょっと気になっちゃって」
「そっか・・・。じゃあ、見せてあげる」
「えぇっ!?いいわ、悪いわよ!」
「とか言いながら、見る気満々の顔してる癖に」
「ううっ・・・!」
図星を指されたルルを見てあたしは苦笑しながら持っていた金色の杖を見せた。
あたしの杖の先端にはレモンイエローの星で、下にはハート型に装飾した金具の真ん中にアウインと呼ばれる青く透き通った宝石が付いており、その金具の下には赤い細いリボンが結ばれていた。
「わぁっ、凄く綺麗ね。これがリクの媒介?」
「そうだよ。ルルの媒介はその杖なの?」
「そうなのっ!これね、おばあちゃんに貰った大事な杖なの」
そう言ってルルが持っていた杖を見た。先端はミルククラウン型でそのクラウンの上にはローズクォーツの宝石が埋め込まれていた。
「そっか・・・。ちゃんと大事にしなきゃ駄目だよ?」
「うんうんっ!勿論してるわ!」
そう楽しくしていると、カーンカーンと鐘の音が鳴った。