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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【銀魂】闇と、 ( No.7 )
- 日時: 2010/02/05 16:17
- 名前: 璃亞 ◆CqIRXYkxeA (ID: xAPqAgFX)
-03
***
男二人は絶句した。
自分が引いたはずの女が今地面に足をつけ自分達に話しかけて居るのだから無理は無い。
「お、おい……総吾、俺は夢でも見てるのか??」
『総吾』、そう呼ばれた若い男は苦笑いを浮かべているだけだった。
黙り込む二人の男に呆れたのか、車にぶつかった拍子に飛んでいった自分の傘を彼女は拾い上げそそくさにその場を立ち去ろうとする。
「お、おい!?」
余りにも唐突なことをしでかすのに驚き土方が彼女の肩を反射的に掴んだ。
呼び止められた所為か、彼女は土方に顔だけ向けた。
血のように鮮やかな赤い目と暗くまるで闇のような黒い目のオッドアイ。
その目は凍りついたように冷たく土方を射抜く。
余りにも冷たすぎる目な所為か、土方は言葉を失った。
「……何か用か??」
肩を掴んだまま何も話さない土方を急かすように話す彼女の声を聞き、ようやく土方が我に返った。
「いや、なんでもないが……、怪我は無いか??」
「別に何処も悪くない。俺はヒトより丈夫だ」
心配して聞いた言葉に素っ気無く答えると肩の上に置かれた手を彼女は振り払った。
「……それだけならもう俺にもう様は無いだろ??じゃぁな」
進行方向へ向きを直すと手をひらひらと振りながら彼女は何処かへ歩き始めた。
「あ、おい!」
何かを思い出したように、土方が彼女を呼び止める。
彼女はその場で立ち止まっただけで今度は振り向きもしなかった。
「………お前、名前は何て言うんだ??」
彼女が何も反応を見せないので、勝手に話し始める。
「……陽空」
彼女はそれだけ呟くと何処かへ消えた。
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