二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 不幸な少年達 【リボーン×バッカーノ!×インデックス】 ( No.59 )
- 日時: 2010/06/05 15:45
- 名前: 鈴蘭 百合音 (ID: LmekyLqy)
第三章
『不幸といえない始まり』
※流血あり。苦手な人は注意してください
フ「フェリアス・・・?」
マイザーは青い青年の消えていった虚空をただただ眺める
マ「また・・・アイツを取り逃がした・・・」
フ「もしかして、今の・・・」
当「どうしたんすか?」
当麻が何かに気づいたらしきフィーロに首を突っ込むかたちで聞く
フ「それが —— 」
マ「・・・待ってください、フィーロ。やっぱり、それは自分で説明します」
そういったマイザーの目は悲しさと怒りが煮詰まったような暗い色をしていた
マ「彼は、私の命を狙っています」
ツ(きたぁぁ!?こういうタイプの厄介ごと!)
マ「最初は個人的な恨みからだったんでしょうが・・・彼の立場がそれを後押ししてしまったんでしょう。・・・そして、ほんの少しの好奇心から」
ツ(あれ?・・・好奇心??)
ふと、そういう疑問が頭をよぎったが、とりあえずお決まりのパターンではない気がして、話を進めてみることにした
マ「私は・・・そうですね・・・いわゆる、錬金術師なんですよ。昔のことですが」
マイザーは困ったような苦笑いを浮かべてそう言った
もちろん、こんな話を信じる人などいないという気持ちから来るものだった
ツ(こ、今度は錬金術・・・!?)
と、まぁ、ツナにとっては突拍子も無い話なのだが普段周りにいる人間がダイナマイトを携えた銀髪の中学生だったりと、巻けず劣らずな人ばかりだったので口を挿む(はさむ)に挿めなかったというのが本当のところである
隣にいる上条も黙って聞いているところからも、お互いに非日常慣れしているのだろう
もっとも、上条は実際に錬金術師と名乗る男と戦った覚えがあるため
当(またか・・・)
と、言うのが心情だったりする
マ「ところが、彼はそういう類の人間が嫌いでして、立場的にも私たちのような錬金術師を認めるわけにもいかなかったのでしょう」
フ「・・・マイザーさん、それってもしかして、俺らも狙われてたってことですか?」
当「フィーロさんも!?」
上条のツッコミは置いておき、マイザーは苦々しくも頷く(うなずく)
マ「前に錬金術師の私の友達が・・・殺されて・・・それで、私が投獄したんですが・・・そのときに恨みを買われたんでしょう。フィーロにまで、迷惑かけてしまって・・・」
さらりと、すごいことを言った気がする
フ「そ、そんなことはないですけど・・・」
マ「・・・こうなると、チェスが心配です・・・」
ぼそりとつぶやかれた一言に、フィーロははっとする
フ「あ!?チェスとエニス!!」
マ「・・・だから、置いて来たって言ったじゃないですか・・・;」
ツ「・・・」
なんだか、とんでもないことになっている気がする
ツナは自然と彼らのために何か出来る事を思案していた
そんなツナを見て、屍はとりあえず今は協力しようと思う
屍(このままじゃ、あまりにもこいつが不幸だ・・・)
上条を見ると、ツナと同じようにして悩みこんでいる
屍(・・・いや、一人ではないみたいだな・・・)
思わず苦笑いを浮かべてから、屍は付け足すように思う
屍(また、血を見る気がするしな・・・)
フ「マイザーさん、ちょっと見てきます!・・・やばい、無事ならいいけど・・・」
フィーロはつぶやきながら走り去っていったが、マイザーはいやな予感がしていた
そして
フ「・・・ザーさん!!・・・エニスたちが・・・!!」
マ&当&ツ&屍『!?』
当たってしまった
当たってはいけない予感が
フ「二人が、いないんです!!」
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マ「・・・本当ですね」
ツ「もしかして、連れ去られちゃったんですか!?さっきの・・・」
フ「それは無い。あの道はここへつながってないみたいだし、あの短時間じゃ無理だろう」
冷静にそういっているが、フィーロは自分を安心させるためにそういっているのだった
当「・・・自分で動いたってことですか・・・」
マ「なにも無ければいいですが」
マイザーは心配そうに視線を泳がせている
ツ「・・・あれ?」
視線を追っていったツナが何かに気づいた
ツ「・・・銀色・・・?」
その単語に上条は慌てて振り返るが、そこにいたのはシスターの少女ではなく作業着の少年だった
マ「・・・アヴィラ・・・!!」
**********************************
フ「・・・え?」
気づくとマイザーは人ごみにまぎれていく少年を追っていた
フ「マイザーさん!?」
声が届かない
仕方なく、フィーロは後を追う
ツ「あ、ちょっと・・・!」
ツナも追う
残された当麻と屍は一瞬顔を見合わせてから走り出す
始まる
戦いが
悲しい
戦いが
ここで
アイツ
斬って
確かめ ———
マ「・・・なっッ!!?」
ビシュ
赤い血が舞った
ぬめりとした、赤黒い液体が銀色のナイフに張り付いて・・・
ツ「・・・あぁ・・・」
フ「・・・ま、いざー・・・さん・・・!?」
当「・・・ッ!?」
彼らが見たものは、バランスをくずしたような格好で、腕から赤い血を飛び散らせつつも何とかナイフを避けるマイザーと、そのナイフを振るうフェリアスの姿が
ところが
屍「・・・!?」
ゾワリ
赤い虫が集団でうごめくように、マイザーの血がまるで生き物のようにマイザーの体へと戻っていく
神秘的で・・・恐ろしく
再生していく
フェ「あ・・・ッ!!」
がっ という鈍い音と共にフェリアスの体が跳ね飛ばされる
マ「・・・」
マイザーはもがくフェリアスを押さえつけながら、罰の悪そうな顔をして振り返る
マ「・・・すいません。私、
—— 普通の人間じゃないんです」