二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 不幸な少年達 【リボーン×バッカーノ!×インデックス】 ( No.71 )
- 日時: 2010/07/11 22:07
- 名前: 鈴蘭 百合音 (ID: NihAc8QE)
間章3
『ヒロインと紫』
ことは、マイザーの衝撃発言から少し遡る(さかのぼる)
秦「・・・」
京「どうしたの?秦ちゃん?」
先ほどからずっと黙り込んでいる秦に、京子は心配そうに声をかける
秦「なんでもない」
さらりと秦はそういったが、実のところなんでもなくは無い
秦(・・・つけられてる・・・)
さっきから殺気の混ざった視線を感じ続けている
一応は感づかれないよう、巧妙に感情をコントロールさせているようだが、察知しようと思えば簡単にできるレベルだった
秦(・・・わざと・・・?)
そう感じた秦はピタリと足を止めた
イ「む。かな、どうかしたの?」
秦「ちょっと気になることが出来たみたい。先にいっておいて」
ハ「それならハルも行きます!お手伝いしますよ!」
秦「大丈夫、オレ一人で十分だから。すぐ済むよ」
秦はそう言って笑うと、くるりと振り返って手近な脇道へと入っていった
すると、思ったとおり小さな足音がついてきた
秦「・・・オレたちに何の用なの?」
足音が止まり、ビー玉でも転がすような滑らかな声が聞こえてきた
?「僕に言えるのは、あなた達を監視する役目があるってこと。それが僕で、必要ならばあなた達を殺さなきゃいけないってこと」
振り返ると無表情な銀髪の少年が立っていた
年齢は中学生になったばかりかその前後らしく、秦から見ても幼い顔立ちにアンバランスな鋭い銀の殺気立った目。さらりとなびく長い銀の髪は後ろで束ねてあり、頭のほうはわざとらしくたたせてあった
秦(・・・銀髪?)
くすんだ灰色の作業着の上に茶色いベルトを巻きつけ、背中に長い革の袋を背負っていた
秦(『銀髪にノコギリを背負った子』・・・彼のこと?)
名前は確かアヴィラという白いシスターの敵らしき人物
秦「それが、今だって言うわけ?」
秦は少年の言葉に聞き返しながら、ほぼ確信する
まさか、ここで銀髪の人間がもう一人いるとは到底思えない
秦の問いにアヴィラは一瞬考える間もなく
ア「あなたが、僕を敵とみなしたなら」
と、あっさり言い切ったが奏は目を細めて考える
秦(・・・ここで見逃せば、インデックスが危ない・・・?)
京子たちやチェスたちはまだ彼の敵では無いはず
だが、インデックスは自分で敵だと言っていた
ここで殺されてしまう可能性が高いのは彼女だ
秦「・・・訳もわかんないのにつけられてたってことは、明らかに味方じゃないと思うんだけど?・・・それに、『何の』敵味方?答えようも無いと思うんだけど?」
秦はそう言いつつアヴィラの動きを観察していたのだが、動きらしき動きをしないのでは意味が無い
ア「確かに、その通り」
アヴィラはつぶやくようにそう言い、初めて微笑むような苦笑いへと表情を変化させた
ア「それなら、『何の』敵かぐらいは言っておかないといけない。違うかい?」
簡単なことだ とアヴィラは笑って言う
ア「あなたは —— 魔術か化学かどちらの味方をする気なのか。魔術を選べば敵、科学を選べば少なからず敵ではなくなる」
魔術か科学か
何を聞きたいのだろうか?
いまどき、魔術などというものが・・・?
ア「あなたはあの禁書目録のように魔術という馬鹿げた力の味方になるのか、そこが知りたい」
秦「そんなこと
—— 訊く必要、無いでしょう?」
とたん、秦の袖口から光るものが飛び出した
それがトンファーを模した刀であると認識するよりも早く、アヴィラは反射的にレンチを腰のベルトから引き抜いた
瞬間、秦が踏み込む
——— ガキィィィィイイイイ
金属と金属の擦れ合う音
思ったよりも大きな衝撃にアヴィラは思わず無表情な顔を歪める
ニィ と秦は余裕すら感じられる笑みを浮かべると、一息に剣を引き剥がす
刹那 ———
ア「ッっ!?」
ドロ・・・ と持っていたレンチが液体化していく
アヴィラは考えるより先に使えなくなったレンチをかなぐり捨て、ドライバーを引き抜きながら秦から距離をとる
ほんの一瞬の間をおいて、その小型ドライバーが宙を舞った
しかし、そのドライバーもまた秦が斬りつけると同時に原型が無くなった
ア「・・・」
秦「・・・終わり?面白くないよ?」
そういった瞬間、なんだかありえない物が飛んできた
秦は思わず横跳びにその何かを避ける
秦(・・・さしがね・・・!?)
銀色のすごいスピードで舞う円盤状のものは、それこそありえないスピードで回転していた薄いさしがねだった
メッキョオ とすごくありえない音がして、後ろに立っていた自販機が大破した
しかもそのまま、ただのさしがねは周りの壁まで壊しながらブーメランのようにアヴィラへと吸い込まれていく
それをアヴィラは回転したまま掌で受け取った
この間、わずか3秒弱
自販機の崩れる音のほうが後に聞こえたほどだった
秦「・・・」
ア「・・・」
ぎゅんぎゅんと高速で回転したままのさしがねを掌で弄びながら、アヴィラは秦に無言で問いかける
さっきの答えを出す気になったか? と
静かに秦は両手に握った刀を構える
これが答えだ と
再び、さしがねが宙を舞った
しかも今度は、さっきよりも早い
秦は今度は避けなかった
そして ———
メキィ と音がした
単純なその音は、物体の歪む音
刀にぶつかったさしがねが大きく歪んでいた
しかし、秦の持つ刀には亀裂が入っている
ミシ・・・ と亀裂が広がりかけた瞬間 ——— 刀から炎が上がった
ア「・・・ッ!」
跳ね返ってきたその物体をアヴィラは上半身を上手くくねらせて避けた
びゅん と音が聞こえて、アヴィラの姿が消える
秦が慌てて辺りを見回すと、すぐ上のビルの屋上に立っているのが見えた
どうやって今の一瞬で上ったのかは分からないが、秦はその白い少年をにらみつける
ア「急用だよ。僕はここまで。また、続きは後ってこと」
そして、彼の姿は消えた
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今通った奴
あいつらは
ぼくたちの
ターゲット