二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: [★]... party and party - D灰 ( No.15 )
日時: 2010/02/14 08:56
名前: 向山玲羅 (ID: AzSkpKat)


  — 第四幕 —

          “ 痕 ”





「黒の教団へようこそ。歓迎するよ、叶華ちゃん」

ニコリと、コムイは微笑んだ。
叶華もつられて小さく笑う。

————此処は黒の教団、室長室。
コムイは一枚の資料と叶華を交互に見ながら優しく笑う。

「君は・・・・・“セカンド”、なんだよね?」
「そう・・・です」

顔色ひとつ変えずに言う叶華に、コムイは心を痛めた。

この聖戦に勝つ為ならば、教団は手段を選ばない。
たとえ何人の犠牲が出るとしても。
どんなに小さな子でも戦争に駆り出す。

「・・・・君のイノセンスは?」
「この右手、です・・・・」

叶華はイノセンスを発動させた。

突如叶華の周りに風が起こり、右腕を包み込んだ。
風が止んだ時には、すでに右腕全体に黒い蝶の模様が浮かび上がった。

「この右腕は・・・・たくさんの実験を重ねて成功した例です・・・」

コムイは気づいた。
叶華の身体中に実験の痛々しい痕が残っているのを。

叶華は続けた。
ワンピースを脱ぐと、服で見えなかった部分に包帯が巻かれていた。

「—————・・・・・っ!!!!」
「・・・こんなになるまで、中央は私に・・・イノセンスを埋め込もうと・・・・・」

ワンピースを着直すと、叶華はコムイから目をそらした。
コムイは叶華を見つめて、絶句した。

「すまない・・・・・。いくら“セカンド”と言えど、君のような小さな子にそんな事をして・・・・・」
「・・・・あなたが謝る事ないです」

叶華はうつむき、言った。

「この事は極秘でお願いします・・・・・」
「分かった。・・・とにかく今日は休んだ方がいいよ」

コムイの言葉に小さく頷き、叶華は部屋を出た。

部屋の前ではリナリーが待っていた。

「リナ・・・リー・・・・」
「話は終わった?今から叶華の自室に案内するわね」

先ほどと変わらぬ笑顔で、リナリーは叶華の手を引いた。
叶華はリナリーに着いて行く。

「此処にはね、いろんなエクソシストがいるの。もちろん私もエクソシストよ。叶華もね」
「私、も・・・・?」
「ええ。今は任務でいない人もいるけど、いつか会えると思うわ」

迷路のような廊下を突き進んで行くリナリー。
叶華はリナリーの話に頷きながら歩く。

すると、ある部屋の前に着いた。

「此処が叶華の自室よ。他の部屋は後日案内するから、今日はゆっくり休んでね」
「・・・・うん」

小さく頷くと、叶華は部屋へと入って行った。

真っ暗な部屋の中。
自由になれた気がしたのに、何もない部屋を見ると思い出す。
これは夢なんじゃないか、と思ってしまうほどに、“自由”という事は叶華にとって残酷だった————・・・・。