二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: バトテニ-If you can become happy- ( No.12 )
- 日時: 2010/02/09 20:19
- 名前: 亮 (ID: 2nrfRM.C)
09 救世主
銃声が響いた。
でもそれは、乾の銃ではなくて。
香澄は驚いて、銃弾が飛んできた方を見た。
誰なの?
誰でもいい、だた、怖い。
誰にも、会いたくない。
もう誰も、信じられない、信じたくない。
だって、きっと、何もかも変わって、知らない人になっているんでしょう?
森の茂みから出てきたのは、跡部景吾だった。
跡部が放った銃弾は、乾の胸を貫通させた。
そして、その場に倒れた。
・・・死んだんだ。
「女に手を出そうなんて、卑怯なマネしてんじゃねェよ」(跡部)
跡部は一言そう言うと、香澄のほうへ歩み寄る。
「大丈夫か? あーん?」(跡部)
手を伸ばせば、届く距離に、手がある。
なのに、手を伸ばせない。
とてつもなく怖い。
人を信じるのが。
「・・・ッ」(香澄)
香澄は俯いたまま、顔を上げようとしない。
手を伸ばそうともしない。
うなだれたまま、泣いているだけだ。
「どうした? どこかやられたのか?」(跡部)
かすかに肩が震えているのに気がつく。
裏切られた悲しみは、どんなモノか分からない。
跡部は、血で染まった海堂を見た。
だが、仲間を失った辛さなら、いくらかは分かる。
そっちが手を伸ばさないなら、こっちから、差し伸べてやろう。
跡部は手を伸ばし、香澄の肩に触れようとした。
「・・・ィヤッ」(香澄)
消えそうな小さな声で叫び、跡部の手を勢いよく払い除ける香澄。
その行動に、驚きと傷心を隠せない跡部。
香澄にとっては、俺も、“乗っている人”なのか?
「怖い、怖い、怖い・・・ イヤだよ・・・」(香澄)
呟く香澄。
酷く傷ついた心。
跡部には、どうして良いか分からない。
「信じられない・・・」(香澄)
香澄が最後に呟いた言葉。
それっきり何も言わなくなったが、香澄の心の中が、少しだけ見えた気がした。
信じられないなら、信じられようにしてやればいい。
この俺様を、信じればいい。
ずっと、味方でいてやるから。
そばで、守ってやるから。
だから、少しだけ休んで、それから強くなればいい。
テメェを、テメェで取り戻せ。 香澄。
次の瞬間、香澄は温かいモノに包まれた。