二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: —D.Gray-man 全テノ運命ハ廻リ出ス— ( No.13 )
- 日時: 2010/02/20 21:05
- 名前: アリス (ID: tyHe3Nhg)
- 参照: 廻ル廻ル…全テノ運命ハ廻リ出ス——…
—04夜 失ワレタ記憶—
「あ…リナリーが待ってるんだった!!ごめんねッ!!」
アリスはスイの前から足早に立ち去った。
スイは呆然とアリスを見つめそっと呟いた。
「あの子…うちの、何かを知ってる…?」
だんだんと離れて行くアリスを見つめ、スイは目頭が熱くなるのを覚えた。
涙が一粒零れ落ち、スイは驚いた様に口を開いた。
片手で涙を拭うと、スイはコムイを見つめた。
「あの子のことかい?あの子のことはよく分からないよ…いくら教団でもね…」
「何で?」
「あの子は、記憶を失っているからね——…」
スイが思わず口を閉じた。
コムイは苦笑いを浮かばせ、スイの肩を叩いた。
コムイなりに元気を出させようとしているのだ…。
「けど、あの子…うちのこと“姉さん”って言った…姉のことは覚えてるのに、何故他のことは忘れてるの…?」
「人間って言うのは気ままでね…自分にとって良くない記憶は勝手に脳が消去するんだよ。あの子にとって姉のこと以外は良くない記憶だらけなんだよ…」
コムイは悲しげに微笑んだ。
スイも表情を歪めた。
アリスもスイも、自らの記憶がない。
アリスは自身が気付かぬ内に脳が記憶を消去し…。
スイは生まれた時既に記憶を無くしていた。
その話はまた今度しましょう…。
「そうだったんだ…うち…傷付けちゃったかも…」
「大丈夫さ。アリスちゃんは僕とコムリン以外には優しいから…」
そう言うコムイの目から涙が滝の様に流れ落ちた。
スイは笑いを堪えると、足早に立ち去った。
***
「暇暇ぁ〜!!ティッキー何とかしてぇ〜!!」
「俺も何とも出来ねーっつの!!」
あまりに煩い少女にキレた様に男が叫んだ。
彼の名はティキ・ミック。
ノアの力を受け継いだ人間である。
遊び半分で人を殺すことが多い…。
少女の名はロード・キャメロット。
数十年前からノアで、長子と呼ばれている。
人を殺すことに何も抱かない恐ろしい少女。
「だってさぁ、今日は新しい仲間が来るからって伯爵に言われたから此所にずぅっといるのに全然来ないんだもん!!」
「んなこた俺が知るか。と言うか俺に当たるなよ」
ティキの腕を力一杯握り締めるロード。
「…何だロード…暇なのか…?」
ティキが勢い良く振り返る。
後ろにいたのは女。
女はニヤリと微笑んだ——…。