二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: —D.Gray-man 全テノ運命ハ廻リ出ス— ( No.135 )
日時: 2010/04/03 21:54
名前: アリス (ID: tyHe3Nhg)
参照: 春休みだけど塾だらけだぞこんにゃろー

—24夜 マタ一緒二—


「…は…あははははッ!!」


ティキがいきなり笑い出す。
そしてスイの顎を持ち上げた。
ガン見するかの様にティキがスイの顔を見つめる。


「やっぱ俺…お前のその性格好きだわ」

「私も貴方達は好きですよ。嫌いになれない様にプログラムされてるからでしょうね」


睨み合う二人。
まるで火花が散っているかの様にも見える。


「まぁそこら辺にしときなよぉ、ティッキー?あんま派手に動き過ぎたら千年公にバレちゃって怒られちゃうよぉ?」

「…一つだけ言っておくぞ、エクソシスト」


スイがティキの手から逃れた。
夜がスイに冷たい視線を浴びせる。
スイもまた夜に冷たい視線を浴びせる。


「私達はお前を迎えに来たくて此所に来た訳ではない。遊びで来ただけだ」

「遊びですか?貴方達の遊びは子供染みてる」

「何とでも言うが良いさ。だがな…一つ忠告だ。お前ごときに千年公は倒せない。いくら生き方を変えようと、お前がアクマなのは事実だ。イノセンスはお前がアクマなのをいつか必ず拒む。そしてお前はまた必ず一人になる。イノセンスが扱えないエクソシストは教団からすればいらない物質だ。それにお前はアクマ。良い実験動物にされるのがオチだな…」


クスリと夜はほくそ笑んだ。
スイはギュッと手を握り締めると、夜を睨んだ。

睨んだ所で反論出来ることではない。
夜が言ったことは全てが事実なのだから。


「おっと時間がかかり過ぎてしまったな。そろそろ帰らなければ千年公に叱られてしまうぞ。さぁ、帰るぞ」

「えぇ〜まだアレンに会えてないよぉ〜」

「仕方ないだろう?叱られたいのか?」


ロードがふてくされた様に顔を膨らませた。
よしよし、と夜が優しく頭を撫でた。


「私達がいたこと…別に言っても良い。しかし同時にお前も問い詰められる。何故殺さなかったのかとな…」


フフッと怪しげな笑みを零すと、夜はロードに耳打ちした。
ロードは渋々扉を出すと、ソカルを引き連れ入って行った。
誰も来ていないことを確認し、夜も入る。
静まり返る廊下でティキだけが佇む。


「何故入らないのですか?」

「いつ入ろうが俺の勝手だ。昔から思ってたけど…お前俺を無駄に邪険にするよな。何故だ?」

「知りませんね…プログラムに入っていないことは私には分かりませんしね」

「…それが心って言うんだよ…」


そう言ってティキは扉に入って行った。
スイは扉を静かに見つめ、溜め息を漏らした。

今もしこの扉を潜ればまた昔の様に伯爵と一緒にいられるのかと。
また笑い合えるのかと。

儚き願い。
叶う筈もないのに、彼女は願う。


“伯爵様とまた一緒に暮らしたい——…”