二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: —D灰 全テノ運命ハ廻リ出ス— アンケ実施中!! ( No.162 )
日時: 2010/04/06 16:44
名前: アリス (ID: tyHe3Nhg)
参照: あと二日で春休み終わりだぞこんにゃろー

—25夜 本当ノ気持チ—


***


「スイちゃん遅いねぇ…寝てるのかな?」

「コムイじゃあるまいし有り得ない」

「相変わらず酷いね…アリスちゃん…」


コムイに対し軽く毒舌を吐くアリスをリナリーは静かに呆然と見つめていた。

あの時。
怒りながら部屋に戻って行ったスイのことが気になりながら。


「遅い…遅過ぎるわ…スイは時間厳守なのに…私ちょっと見て来るわ、兄さん」

「リナリー行くのかい?なら僕も…」

「クラウス…すぐ帰って来るから待ってて?」


クラウスは少し拗ねた様にそっぽを向いた。
テッサイアや彩人も同類で遅過ぎるスイに若干腹が立っている様だ。


「私行って来るね!!」

「あぁ…よろしくね、リナリー」


その言葉を最後にリナリーは走り出した。

スイに謝りたくて。
さっきは兄さんが言い過ぎてごめん、と言う為に。


***


リナリーはスイの部屋の近くに急いだ。
リナリーがスイの姿を見掛け、スイに声を掛けようとした時。


「誰かは分かんないけどさ、殺気が隠し切れてないからバレバレ。誰?」


リナリーは驚き、心臓が飛び出るかと思った。
出て来たのはノアの面々。
知らぬ者もいるが、ロードとティキは見慣れた顔である。
しかもこれから戦いをして行かねばならない敵。

何故敵とスイが一緒にいるのか…?

そこが問題であった。

リナリーが呆然としていると、ふとロードがこっちを見つめた。


『盗み聞きはよくないよぉ、リナリー?』


そう聞こえ、リナリーはロードを驚いた様に見た。
ロードはクスッと笑うと、またスイの方に視線を戻した。


「人を殺すことがですか?本当に…貴方達はおかしい!!」


いきなりスイの声がしてリナリーは驚き、跳ね上がった。
かろうじてまだロード以外のノアに気付かれていないのが幸いだ。


「でも…私は貴方達が好きです…いくら拒絶したくとも仕切れない…そう作られたからでしょうね…貴方達を恨むことは出来ない…お願いです…世界の終焉なんてもう止めて下さい…!!」


スイの悲痛な叫びが聞こえ、リナリーは言葉を失った。
———私達仲間じゃなかったの…?…スイ…!!
通じる筈もないリナリーの叫び。

そこからリナリーはよく分からなかった。
あまりにショックで悲しかったせいか、内容さえあまり覚えていなかった。
ただただ、悲しくて。

ティキが帰ってすぐにリナリーは駆け出した。
スイにいたことがバレてしまえば謝るどころじゃ済まなくなる。

もし…それがバレたらスイはどうするのか…?

リナリーの脳内で最悪の事態が過ぎった。
———大丈夫…大丈夫だから…今は任務に集中しよう…。
リナリーは念じるかの様に目を閉じた。