二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: —D.Gray-man 全テノ運命ハ廻リ出ス— ( No.19 )
日時: 2010/02/25 17:10
名前: アリス (ID: tyHe3Nhg)
参照: 廻ル廻ル…全テノ運命ハ廻リ出ス——…

—09夜 暗闇ハ近付ク—


***


「…ッ!!」


物凄い勢いでスイはベッドから起き上がった。
汗が額を流れ落ちる。
スイはそっと汗を手で拭うとベッドから出た。
そして近くに置いていた水の入ったコップを手に取った。
一思いに飲み干すと、スイは深い溜め息を漏らした。


「また…だ…あの方に…捨てられる夢——…」


“——様!!
どうしてですか!?
何故私を捨てるんですか!?
——様…ッ!!”


あの時の悲しみ。
そして苦しみ。
両親と信じて疑わなかった者からの裏切り。
スイにとっては辛く、それでいて悲惨なもの。


「…正直今でも戻れと言われたらうちは戻るかも知れない…けど——…」


スイは手を軽く握り締めた。

あの日。
あの時。
もしスイがコムイと出会っていなかったら、スイの運命は180°真逆だった筈だ。


「今のうちにも、守るべき者は出来た…だから…もし貴方様の元に戻っても…うちはすぐ此所にまた戻る…守るべき者を守る為に…そしていつか貴方様を…闇から救う為に——…」


スイは力強く手を握り締めた。


***


アリスはハッと目を覚ました。
目の前にはアレンの顔がある。
思わずアリスは驚いて、後ろに下がった。


「起きましたか?アリス。そろそろ着きますよ。ホラ…あれですよね、街は。あ、あと…アリスが寝させてくれたおかげですかね?体が凄く楽です。アリスも疲れてたなら言ってくれれば良かったんですけど…」

「い、いや…疲れてはなかったんだけど…」


アリスは苦笑いを浮かばせた。

寝てしまった以上疲れているとしか思われないのだ。
恐らくアレンの方が疲れていただろう。
けれど寝てしまったことでまたアリスは迷惑を掛けてしまった。


「ごめんね、アレン。あんま寝れなかったんじゃ——…」


アリスが聞きかけた時。
汽車が止まった。

きっと街に着いたのだろう。
此所からは任務だ。
中途半端はいけない。


違う。
命取りになるから、危険なのだ——…。


「街に着いた様ですね…」


アレンがゴクリと生唾を呑んだ。

これが果たして街と呼べるのだろうか?
大きな穴が開き、まるで下から暗闇が誘い掛けているかの様だ。
一歩でも踏み間違えれば終わり…。
一瞬であの世に逝けるだろう。


「これが…本当に街があった場所だって言われても…全然信じらんないや…」


アリスは驚いた様に口を開き、呟いた——…。