二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: —D灰 全テノ運命ハ廻リ出ス— アンケ実施中!! ( No.202 )
- 日時: 2010/04/27 18:31
- 名前: アリス (ID: 7us28xUs)
—第28夜 死カ生カ—
***
暫く経ち先程までアクマで埋まっていた空が青く煌めいていた。
アクマはもう、いない。
たったこれだけの時間で二人は空が真っ黒になってしまう程のアクマを制圧したのだった。
何故元帥をも越えてしまいそうな彼女等が元帥になれないのか?
それは彼女等の生い立ちにあった。
まぁそれは後々知られて行くであろう。
「あーあ…服汚れちゃったじゃん…あんた等の汚い血のせいでさぁ…」
団服にベットリと染み付いた血を忌々しそうにアリスは見つめた。
スイがまあまあと宥めるかの様にアリスの肩に手を置いた。
アリスはニッコリと微笑み返すと、血を浴びるハメになってしまったアクマの死骸を踏み潰した。
既に息はないのだが…。
「もう止めたら?せっかく綺麗な靴が台無しになるよ?」
「…そだね♪」
アリスが荒々しく靴をアクマからどかした。
アクマの死臭が漂い、普通の人間ならばもう耐えられないだろう。
霧の様に辺りを漂う死臭は鼻を突く香りである。
「ヤな匂い…」
「臭いよねぇ…」
二人は手で鼻を押さえかろうじて死臭の匂いを我慢している。
その時。
スイが何かに気付いた様に空を勢い良く見上げた。
アリスも空を見上げる。
「ヤッバ…さっきまでのアクマは囮だ…」
「囮…!?じゃあこれから来るのは…ッ」
スイの額を冷や汗が流れ落ちた。
チラッとアリスを見てから死臭の漂っていない視界のよさそうな建物の上に飛び乗った。
アリスもスイを追い掛けて建物の上に乗った。
目の前に広がっていたのは…。
アクマの大群。
先程のアクマ達でも相当の数であったが先程は二人が全快の状態だった為余裕であった。
しかし今は先程のアクマのせいで疲れきった状態である。
勝てる、などと豪語は出来ない。
生き残れるか、死んでしまうかさえ分からない状況に二人は置かれている。
「駄目だなぁ…ごめん。今回生き残れる自信ないや…」
「私もだよ…まぁどっちかが死んでも仕方ないってことでOK?」
「…了解でーす」
そんな冗談を言いながら二人は既に発動を止めていたイノセンスをもう一度発動させた。
二人がイノセンスを構え突撃しようとした時。
ピタリとアリスの動きが止まった。
一点を見つめ、アリスはピクリとも動こうとはしない。
「アリス…?」
スイからの問い掛けにさえ答えようとしない。
アリスはゆっくりと動き出すと建物の上を飛び乗ったりを繰り返しアクマの大群へと突っ込んだ。
スイがアリスを追い掛けようとするとアクマが視界を妨げたりして邪魔で追い掛けられない。
「アリス…ッ!!何処行くのッ!?アリス——ッ!!!!」
目の前のアクマをイノセンスで切り裂き、スイがアリスのいた方向を見つめるとそこにアリスはもうおらず大群のアクマも消えていた。
広がっていたのは青い青い綺麗な空。
「アリス…何処…?アリス…ッ!!アリス———ッ!!!!」
スイの悲痛な声のみが空に響き渡った——…。