二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: —D灰 全テノ運命ハ廻リ出ス— アンケ実施中!! ( No.207 )
日時: 2010/05/02 19:22
名前: アリス (ID: U2fmuc/y)

—第29夜 本当ノ自分—


***


「おや…目覚めたのか、エクソシスト?いや…セカ…」

「それは禁句ですよ夜♪というか勝手に言うのは許しませン♪」

「悪かったな。私はおいとまさせて貰おうか?無駄なことを言いそうだ…」


そう言って扉に夜が手を掛けた。
頭に?マークが沢山浮かんでいるアリスを見て夜はクスクスと微笑んだ。


「此処はお前の敵の中枢の場所。つまり今お前は敵の中枢の所に監禁されてると考えてくれて良いさ。お前が逃げ出そうとする場合は私が殺して良いと伯爵に許しを承けていたのだが…殺せなかったか」

「夜は席を外して下さイ♪」


夜は舌打ちを漏らすと、外へと出ていった。
アリスはイノセンスを発動させ、いつ攻撃されても良い様に構えた。
伯爵はニコニコと微笑むばかりで全く攻撃はして来ない。
いきなり片手を伸ばし、アリスのイノセンスを伯爵は優しく奪い取った。


「何で…どうして私だけ連れて来たの!?」

「何故って用件があるからに決まっているでしょウ?」


伯爵はヤレヤレ…と声を漏らすと身構えているアリスの手を掴んだ。
アリスは驚き離そうと暴れるが、びくともしない。
アリスが諦め伯爵に問い掛けた。


「その用件って何なの…?」

「やっと本題に入れますネェ♪」

「煩い!!本題だけ聞いたら教団に帰らせてくれるのよね?」


伯爵はニタリと怪しげな笑みを浮かばせながら首を縦に振った。

YES——…。
つまり帰れると言うことである。


「なら良いけど…早くして。私早く帰らないとスイが気になるから…」

「では率直に聞きますが、貴女は自分が何処生まれの何人なのかご存じですカ?」

「…よく分からない…」


アリスが表情を歪め、呟いた。

実はアリスは母親が死んですぐ気付いたことなのだが、拾われた子であったのだ。
家の前に捨てられていた所を母親が拾ったのだと言う。
つまりそれが意味することは——…。

彼女が九条家の子供ではないと言う真実のみであった。


「そうですカ♪そうですカ♪では貴女は自分の本当の姿を知りたいですカ?」

「知りたい…けど怖い…本当の自分を知って良いのか分からない…」


アリスが怯えた様に体を震わせた。
伯爵は尚更笑い、アリスの怯えている姿を見つめた。


「なら私が知っている貴女の情報を全て教えましょうカ?」


アリスが希望と絶望の入り交じった様な顔付きで伯爵を見つめた。

知って良いことなのか。
悪いことなのか。
知るべきか。
知らざるべきか。

アリスの中で不安が過った。
沈黙が辺りを包み込む。
アリスは少し迷った様に首を捻ると、伯爵を見つめた。
伯爵はただでさえ裂けた口を更に開いた。


「決心は定まりましたカ?」

「ねぇ…あんたが知ってるんでしょ?私の本当の自分を…」

「当たり前デスヨ♪」


決心したかの様にアリスが顔を上げ、伯爵を睨む様に見つめた。


「教えて!!」

「貴方が望むなら、いくらでも教えて差し上げますヨ♪地獄を見たとしても…これから教えることが辛く悲しいことだとしてモ♪」


彼女は知るべきではなかったのだ。
本当の自分の姿を。
偽りの自分を重ね続ければ良かったのに——…。


「貴女は—————デスヨ♪」