二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: —D灰 全テノ運命ハ廻リ出ス— アンケ実施中!! ( No.227 )
- 日時: 2010/06/06 17:08
- 名前: アリス (ID: /jbXLzGv)
—第35夜 罪ト十字架—
***
「…駄目…だ…」
夜は壁に肩を付き傷口を片手で押さえ付けた。
その時ケラケラと笑いながらロードとソカルが何処からか現れた。
「あれぇ?ノアの中で最強と謳われたノアじゃなかったのぉ?」
「夜は最強なんかじゃないよぉ〜だって事実アクマとエクソシストなんかに負けちゃったんだからぁ〜」
誉めているのか貶しているのか分からない様に二人はケラケラと夜を嘲笑う。
夜はきつく二人を睨み付けると、床に座り込んだ。
血が沢山出ている様で、少しずつ夜が弱っていっているのが目に見えて分かる。
「あれぇ?千年公ぉ♪」
ロードが伯爵に抱き付き、続いてソカルも抱き付いた。
相変わらず動けぬ夜を静かに見下ろし、伯爵は口を開いた。
「だから、言ったでショウ?あの二人には決して手を出すなト♪あの二人に手を出せば返り討ちにあうのは貴女だト♪」
どんどん冷たくなって行く伯爵の視線。
それと同時に夜の体さえも冷たくなって行く。
ロードもソカルも、伯爵に抱き付いたまま全く助けてくれそうな気配は見えない。
夜は瞳から大粒の涙を溢し、呟いた。
「一人…は…嫌………死にたく……ない…」
「死にたくナイ?そんな言葉、今更聞きませんヨ♪仕事を与えてもいないのに勝手に動き回る貴女には愛想が尽きそうデス♪」
伯爵は夜の頭の上に手を翳した。
その瞬間。
夜の目がふっと閉じ、寝たかの様に動かなくなってしまった。
「夜!?」
「オヤオヤァ、ティキぽん覗きデスカァ?」
ニコニコと笑みを浮かばせる伯爵にティキは思わず怯んでしまった。
伯爵から発されるその殺気は明らかに、夜を助けようと飛び出したティキに向けられるものだった。
ティキは少し身震いすると、夜の前に立ちはだかった。
伯爵は更に口角を上げて笑い、ティキを見つめた。
「ティッキーどきなよぉ?危ないよぉ?」
「キャハハ!!夜を守る騎士のつもりぃ?ティッキーじゃ無理ぃ♪」
「別に殺すのではありまセン♪彼女から記憶を少し抹消するだけデス♪」
ティキは呆気に取られて伯爵達を見つめた。
伯爵は夜の頭に手を翳し、何か——光の様な物を奪い取った。
それをクシャリと握り潰し、伯爵はまたニコニコと微笑んだ。
「先程夜が最も会いたいとする人物に会ってしまいましてネ?彼女はその人物に会ったら死のうと思っているンデスヨ♪」
「夜は夜なりに罪悪感なんだよぉ〜僕達ノアはおやつを食べる感覚で人間を殺すけど、夜はまだその感覚を持たないうち…つまり未熟な間に実の親を殺しちゃったからあんまり人間を殺すこと自体は好いてはいないんだぁ〜ノアだから血を見るのは大好きなんだけどねぇ?」
罪悪感。
幼い頃に殺した実の両親への罪悪感。
もう戻りはしない、楽しかったあの頃。
罪と十字架を背負い続け生きて来た。
今更願っても叶いはせず、涙と罪悪感だけが渦巻き続ける。
嗚呼、また会えるなら———母さん…父さん…今度は本当の笑顔で会ってみせるから———…。