二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: —D灰 全テノ運命ハ廻リ出ス— ( No.246 )
- 日時: 2010/07/07 22:44
- 名前: アリス (ID: /jbXLzGv)
—第38夜 再会ハ悲痛デ—
「はあ…やっぱ直接言わなきゃな…」
直接言うとなるとやはり怖い。
寝ている時は美人で物静かそうな夜だが、起きると一変軽くティキを貶す様な人物だ。
告白しても軽く受け流されそうな気がしてティキはいつも気が気ではない。
「うぅ…今の言葉起きてる時に言えば良かった…」
何となく後悔するティキなのであった。
***
「姉さん…どうして!?どうしてスイの体にいるの!?まさか…まさか姉さんは———…アクマ…?」
アリアは悲痛に表情を歪ませた。
否定も出来ず、肯定も出来なかった。
もしアクマだと述べてしまえば———姉が生きていると信じ続けていたアリスの期待を裏切ることになる…。
けれどいつかはバレる。
遅かれ早かれアリスにはこのことを言わなければならなかった。
それが少し早くなっただけだった。
「…そうですよ…」
「そ…んな…じゃあ私が姉さんは生きていると信じていたのはただの———ユメモノガタリだったの!?」
違うとも言い切れなかった。
その言えない歯痒さがアリアの苛々を更に積もらせる。
「なら…私が生き続けて来た意味は全然ない!!姉さんを…姉さんを探す為に私は…私は———ッ」
「煩いッ!!」
ポカンとアリスが口を開く。
アリアは堪忍袋の緒が切れたのか、眉間に皺が細かく刻まれている。
「私だって、アクマになんてなりたくてなったんじゃない!!でもこうするしかなかった!!あの時もし———伯爵の提案していたことに反対すれば私は死んでたのよ!!」
アリアの瞳にはうっすらと涙が浮かんでいる様に見えた。
———会いたかった。
肉親でもない。
けど会いたかった。
まるで実の妹の様に一緒に育てられた貴女に会いたかったから。
だから私は禁忌を犯した。
エクソシストとしては永遠に許されないことをしてしまった。
私は———伯爵に体を売った。
「アリスに会いたくて!!肉親でもないけど会いたくて!!会いたくて…ッ…死ぬまでに一度は会いたかった!!だから私は禁忌を犯してまで此処に戻った!!例え貶されても私は…アリスに会いたかった!!」
———そう。
普通ならもう貴女には会えない。
むしろアクマとして敵対しながら殺される可能性だってあった。
それでも、私は…アリスに会う為に。
「だから…だから…ッ」
「姉さん…もう良い…もう良いから…分かったから…」
———今まで会えなかった、アリス。
いつの間にこんなに大きくなっていたの?
もっとよく———顔を見せて?
「最後に会ったのは、いつでした…?」
「私が…教団に連れ去られる少し前…二人だけで悲しかったけど…毎日充実はしてた…」
———嗚呼。
嗚呼!!
何て嘆かわしいことなんだろう。
私とアリスが最後に会ったのがそんな…そんな昔だったなんて。
「凄く…悲しかった…姉さんがいない日々…辛かった…」
———そう。
あの時まだアリスは幼くて、あどけなかった…。
私が守らなくちゃと妙な罪悪感を持たなければ…期限まで…もう少しだけでも一緒にいてられたのに…。
「けどね」
急にアリスの表情が緩む。
「私を、支えてくれた人がいたの。沢山…沢山。だから今まで姉さんと会えなくても…生きて来れた…」
「新しい…友達?」
「友達なんかじゃない。好きな人…私が悲しかった時…凄く支えてくれた…」
———気付けば周りには私以外の人間だっていたのね。
良かった。
ずっと一人かと思ってたから。
「良かった…アリスが幸…せ…で…」
「…?…姉さん…どうしたの…?」
アリアの瞳から、涙が零れ落ちてアリスは驚いた。
それからすぐアリアは電池が切れたかの様に地面へと倒れ込んだ。
「姉さん!?姉さんッ!!姉さん!!姉さんッ———」
倒れたアリアはそのまま意識を取り戻さなかった。