二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: —D.Gray-man 全テノ運命ハ廻リ出ス— オリ ( No.27 )
日時: 2010/03/02 18:27
名前: アリス (ID: tyHe3Nhg)
参照: 廻ル廻ル…全テノ運命ハ廻リ出ス——…

—12夜 守ルベキ物—


伯爵の顔が喜びからか、更に吊り上がる。

嗚呼、何と無駄な願いをしたんだろう。
どの道彼等は殺されるのに。


「そうですカ♪そんなにこの皆さんが大切ですカ♪?」

「も、勿論です。今まで共に喜びも悲しみも分かち合って来た仲間ですから」


怯えるリエンを見つめ、伯爵は笑顔を見せた。
横では怯える捜索部隊達がいた。
それを庇うかの様に捜索部隊達の前に立つ、リエン。


「何と…何と美しき友情なんでしょうカ♪」


ケタケタと一人伯爵は笑い出す。

まるでリエンを馬鹿にするかの様に。

その横で捜索部隊の一人が伯爵の足に纏わりついた。


「頼む…殺さないでくれ…死にたくない…死にたくないんだ…家には家族がいる…娘が、いるんだ…」

「俺だって死にたくない…頼む…殺さないでくれ…」


次々と伯爵の足に纏わりつく捜索部隊達。
伯爵は纏わりついて来る捜索部隊のことを笑いながら見付めた。


「貴女が大切にしてたもの…全て壊れましたネェ♪次はどうするんですカ♪?」

「…ッ」


リエンは歯を食いしばった。

リエンには何の力もないのだから。

伯爵がニタリと微笑んだ。


「オヤオヤァ…♪もう来ましたカ♪エクソシスト諸君♪」


伯爵が指差す方向には血を流すアレンとアリスがいた。

傷は生々しく、痛々しい。
どれだけの力の差があるかを物語る。


「…では、この少女を殺したら…貴方達の表情はどう歪むのですかネェ♪」


剣を思い切り振り翳す、伯爵。
その表情はにこやかに笑っていた。
リエンはアレン達にニッコリと微笑みかけた。


『これからも頑張って下さいね』


口を動かし、そう言った。
次の瞬間。
リエンは鮮血に染まった。
にこやかな表情を浮かばせながら、リエンは息絶えた。


「い、いやああああああああああああああああああ…ッ」


アリスは頭を抱え込むと、地面に座り込んだ。
脱力したかの様にアレンも座り込む。

目の前で人が亡くなる辛さは、この二人がよく知っている。
だからこそ自分の前で人が死なぬ様常に最善の策を尽くして来た。
けれど…。


「リ、エン…リエン…ヤダ…何で…何で…!!」

「…伯爵…ッ!!」


例えどれだけ頑張っても人間死ぬ時は死んでしまう。
か弱く、守るべき存在。
エクソシストが最も助けるべき人物。


それを二人は守れなかったのだ——…。