二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: —D.Gray-man 全テノ運命ハ廻リ出ス— ( No.83 )
日時: 2010/03/12 20:59
名前: アリス (ID: tyHe3Nhg)
参照: 廻ル廻ル…全テノ運命ハ廻リ出ス——…

—16夜 忍ビ寄ル影—


***


「ん〜ッ!!良いお天気だねぇ♪」

「そうだねぇ♪」


大きく背伸びをし、ソカルが欠伸をした。
ロードが同意するかの様にソカルに向かって笑い掛けた。


「でも暇だよね…」

「夜は朝起きたらいなかったしぃ…伯爵もいないしぃ…何処行ったんだろ?」


二人はハァ、と溜め息を漏らした。

ロード達にとって退屈というものは人を殺すことより退屈なことなのである。
お菓子を食べることよりも、更に。

ソカルがポケットから飴を取り出すと袋から出し、勢い良く口に飴を放り込んだ。


「あぁ!!飴ぇ!!」

「いるぅ?」

「いる!!」


ソカルがロードに向かってポケットから取り出した飴を放り投げる。
ロードはそれを上手くキャッチすると、口に放り込んだ。
のほほんとしたこの雰囲気の中やって来たのは…。


「ふあぁ…って、あれ?千年公は?」

「「ティッキー!!(ティキ!!)」」

「それに二人だけかよ?あ、俺もこれから仕事だからな」


ムスッとした顔の二人。
と言うかそもそもティキがいたことに気付いていたのか分からないが。


「…あぁ、そうだぁ…ティキ?」

「何だよ?」

「あのさぁ…もしかして仕事ってエクソシストの見張りだったりするぅ?」

「んだよ、分かってんなら行かせろよ」


ティキが困った様に顔を歪ませた。
ロードとソカルがパァッと表情を輝かせた。
ティキはその変わりように少し戸惑うと、後ろに数歩下がった。


「ならさぁ、見に行くだけで良いから連れて行ってぇ♪」

「連れてくぅ?何言ってやがる。子供なんか連れてける訳な——…」


ティキが言葉を止めた。
しょんぼりと悲しげに二人が下を向いた。

しょんぼりとする二人の表情は今すぐにでも泣き出しかねない状況だ。
泣かせてしまえば伯爵に怒られることはほぼ間違いないと言っても過言ではない。
伯爵を怒らせる程怖いことなどないのだ。

ティキは深い溜め息を漏らすと、二人の頭を撫でた。


「…仕方ねぇなぁ…連れて行ってやるよ」

「「やったぁ!!」」

「やった…って、あれぇ?夜?いつ帰って来たのぉ!?」

「伯爵に付き合わされていてな…たった今帰ったんだ。遊べなくてすまなかったな。これから敵の本拠地にでも行くのか?」

「そうだよぉ♪」


ニッコリとソカルは笑顔を浮かばせた。
夜はクスッと微笑むと蔑んだ様にティキを睨み付けた。


「な…何だよ」

「私と伯爵がいない以上ロードとソカルを守るのはお前の役目…それを知っていると思い、敢えて言わなかったが…お前は私と伯爵がいない時に勝手に外出するな。二人の面倒を見ろ。分かったか?」

「そんな…」

「私の言うことが聞けないと?」


夜が満面の笑みで問い掛けた。

ある意味一番恐ろしい。

ティキは冷や汗を流すと静かに頷くしかなかったのであった——…。