二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: —D.Gray-man 全テノ運命ハ廻リ出ス— ( No.84 )
日時: 2010/03/14 10:57
名前: アリス (ID: tyHe3Nhg)
参照: 廻ル廻ル…全テノ運命ハ廻リ出ス——…

—17夜 平和ナ刻ハ刻マレテ行ク—


「じゃ、行きますかぁ〜ロード♪」

「うん♪」


二人はニコニコと微笑み夜とティキの腕をガッシリと掴み、歩み出す。
敵の本拠地へと。


***


スイは科学班の所で仕事に明け暮れていた。
もはや残っているのはスイのみで科学班全員瀕死になりかかっているのだった。
正に死々累々…。
生き残れているのはスイだけである。
そこに現れたのは、リー兄妹。


「あれ?スイちゃんまだ仕事してたの?」

「まだってあんたが言うか、コムイ!!」

「兄さんがちゃんと仕事しないからみんなが死んでるのよ!!ちゃんとして、兄さん!!」


コムイが悲しげにリナリーを見つめた。
スイが嘲笑うかの様に高らかに大きく笑った。
リナリーもクスッと微笑んだ。
スイがあっ、と声を漏らしリナリーの近くに寄った。

理由は一つしかないだろう。


「珈琲お願い出来るかな?リナリー」

「えぇ、勿論よ!!」


にこやかに微笑み、リナリーは珈琲を作り始める。

平和な刻。
それは一刻一刻刻まれて行くのだ。
彼等エクソシストに終わりはなく、平和な刻は刻々と刻まれて行く——…。


「あぁ…そうだ。今度スイちゃんとアリスちゃんとクラウスちゃんとで任務に行って貰うよ。体力を使う任務だろうから、気を付けてね…」

「うちが死んじゃう訳ないでしょ?…死ねないんだから——…」

「…そうだったね」


コムイは苦笑いを浮かばせた。

スイは死ねない。
死にたくとも死ねない体を本人の意思とは関係なく、死ねない体に改造された。
その時。
彼女の記憶は失われたのだ。
自分が何者か…誰が家族なのか分からない。
覚えているのは生まれ変わってからの記憶だけ…。


「てかいつ行くの?」

「パーティー終わってすぐからかな?楽しい時間に酔い痴れてる頃に悪いね?」

「いや。うちには何の関係もないしね。知ってるエクソシストと言ってもリナリーとアリスぐらい…誰もうちと知り合いたいなんて思いもしないよ」


スイはクスクスと笑いながら言った。
けれど何処か悲しげに見えた。


「まぁ元気出しなよ…スイちゃん…みんなに知り合いたいと思っていないのは君なんじゃないかな?もしかしたらみんなは——…」

「…ッ煩い!!」


スイが怒った様に叫んだ。
コムイとリナリーが驚き、それから悲しげに下を向いた。
スイは怒ったまま科学班の部屋から出て行ってしまった。


「兄さんが今のは悪いわ…」

「分かってるよ、リナリー…けど…スイちゃんの為を思って言ってしまっただけなんだ…」

「分かってる…分かってるわ兄さん…」

「スイちゃんは…まだ僕やリナリーにも本心を出していない様な気がするんだ…」


コムイはそっと呟いた。
スイの為に作られた珈琲の入ったカップから、湯気が立った…。