二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: —D.Gray-man 全テノ運命ハ廻リ出ス— ( No.86 )
- 日時: 2010/03/20 13:29
- 名前: アリス (ID: tyHe3Nhg)
- 参照: 廻ル廻ル…全テノ運命ハ廻リ出ス——…
—19夜 混乱ハ訪レル—
***
「ハァ…本当うち嫌な子じゃん…コムイはうちのこと考えて言ってくれたのに…」
スイはまたハァ…と憂鬱そうに溜め息を漏らした。
頭を抱え込むと、スイはバタリとベッドに倒れ込んだ。
「人の心なんて分かんない…うちの体には心があっても、うち本体にはないもん…何で…何でこんな怪物になっちゃったの…?」
スイの瞳から涙が零れんばかりに溢れ出す。
呆然とスイは手にポタポタと落ちて来た涙を見つめた。
スイにとって涙は分からぬ物。
スイにとって気持ちは難しい物。
アクマにとって感情はいらぬ物。
スイにとって感情とは——…。
「あぁ…これが“涙”…?悲しいってこの気持ちなの…?」
スイは溢れ出る涙を手で拭い、布団を力強く握り締めた。
スイはそっと目を閉じた。
思い出せるのは、伯爵。
スイに命を与えてくれた伯爵。
いくら捨てられたからと言って憎むことは出来ない。
何故なら元々尊敬するに値する者であり、守る者であり、両親でもあったからだ。
「どうすれば良いか分かんない…うちは一体…誰なの——…?」
***
夜は一人黄昏ていた。
ティキに部屋の中を見て来て貰っており、夜は廊下で一人佇んでいた。
稀に捜索部隊が通り過ぎることがあるだけで他は誰もいない。
捜索部隊が通り過ぎる度に夜が感じる殺戮衝動は大変な物だった。
先程2人程殺してしまった。
「…本当に私はまるでアクマの様だな…進化こそしないものの…」
捜索部隊を殺したせいで血だらけになった手を夜は一心に見つめた。
夜が感じる殺戮衝動はおやつの様な物で、毎日最低一人は殺さないと家族をも殺しかねないのだ。
「まぁ…おかげで退屈はしないがな…?」
クスッと微笑むと夜はたまたま部屋から出て来たティキを見付めた。
ティキは首を傾げると、眉間に皺を寄せた。
「此所にもいねぇぞ。何処行ったのやら…」
「恐らく奴等のことだ。きっとエクソシストといるんじゃないか?」
夜が呆れた様に溜め息を漏らした。
案外子守も簡単ではないのだと夜は次の瞬間悟る。
「ソカル♪あいつ殺そ♪」
「良いよぉ♪」
「な——…ッ」
怯える捜索部隊の横でノア化する二人。
既に二人の体中は血に塗れ、何人殺したかさえ分からない程だ。
二人はアッサリと捜索部隊の首と体を切り離し、殺した。
辺りに血が塗れ水溜まりの様になっている。
「…予感的中とはこのことか…お前達何してる?」
「何って、憂さ晴らしぃ♪」
素晴らしいとしか言い様のない笑顔を見せ、ソカルは微笑んだ。