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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 0番目の兄弟 ( No.5 )
- 日時: 2010/03/12 21:38
- 名前: 囮 ◆CbwloS2khc (ID: 8cMqndJ6)
【第一章】
「アハ…やっぱしロードの力は凄いわぁ」
兄弟の居る部屋を出て箱舟の中を自分が出てきた出口を探して歩きながらユキナは小さな笑い声を上げる
灰色だった肌は人間としての色白な肌色を取り戻し始め
鴉の濡れ羽のような漆黒の髪は濃い金色へと染まりゆく
それに合わせて服装も変わり始めていた
崩れ落ちるように消えるワンピースの中からシンプルな白シャツが覗き
薄れていくニーハイソックスの上を純白のスラックスが覆う
そして、灰色の左腕はその色が引くと黒色へと変貌する
その様子を見ながら満足そうに頷いた
「兄弟サン達の目を騙せるだけやなくて…神サンの目まで騙せるんやから————上等や」
ユキナの黒色の左腕は鉄のように無機質で、しかし服で隠れている肩との接合部はしっかりと違和感なくくっ付いていた
最後に掌に浮かぶのは深紅の十字架
それは、紛れもない『イノセンス』
ニコニコと笑みを浮かべたままユキナはシャツのポケットから取り出した眼鏡をかける
背に垂らしたままにしていた金髪をうなじで一本にまとめ上げたその後ろ姿は金色の尻尾を下げているよう
自分の左腕を見下ろしたまま穏やかな微笑を浮かべて呟いた
「そんじゃ…実家へ帰りましょか」
ロードの能力である『夢』
それで兄弟の目からイノセンスを隠し
イノセンスの目から兄弟を隠していた
まさか無機物である神の結晶まで騙せるとは思ってもみなかったので正直少し驚いている
でもまぁ、結果オーライということで良しとしよう
左腕から瞳をあげれば開いたままにしてあった箱舟の扉から薄暗い光が見えた
そこに迷わず足を踏み入れてユキナは呟く
「ただいま帰りました」
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