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70：だってだって


ただ鎌が宙を裂く音だけが聞こえる。

鎌が空を斬るように。

私が鎌に斬られたらいいのに。

*

　
「何で、憐…」

涙を目に一杯ためて綱吉は憐に拳を振るう。

したくないけど、やらなくちゃいけないことだから。

「何で、憐そんな黒になったの、さ」

それを言った直後壁が崩れる音がした。

憐が投げた鎌が入り口付近の壁にあたった。

今にも崩れそうな壁だったため、守護者達は外に出ていたから無事ではあるが…。

扉がふさがれたため今度こそ、戻ってこれなくなった。

「な、んで…………?」

綱吉の言葉が気になったのか、それとも鎌がいま手勿にないからなのか。

理由は定かではないが憐は今動きを止めた。

綱吉もそれに合わせて地に足をつけた。

「何で…って」

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿何かが頬を伝う感じがした。

だけどそれは気のせいだ、と自分に言い聞かせる

「綱吉が言ったのに」

綱吉の所まで歩みより押し倒して…

ナイフを振り上げた。

「綱吉が、綱吉が、綱吉が!!!!!　　全てをさらけ出してくれる人が、好きだって…」

　

私は気高く強い女になるの。

誰かに全てをさらけだしたりしない。



「だか、ら戻ってきたのに!!!　たとえ世界中の人に嫌われたっていいから、綱吉が好いてくれればいいと思って。私は…!!」


私は、黒をもさらけ出して戻ってきたの。



———誰かに全てをさらけだしたりしない。


だから、この頬を伝う涙は気のせいだ。



＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

後書き


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